東洋太平洋王者の勅使河原弘晶が8日、4度目となる防衛戦を見事6ラウンドTKO勝利で飾った。昨年12月以来10カ月ぶりとなるリングで、日本ランク15位の河村真吾をまったく寄せ付けなかった。
後楽園ホールは新型コロナウイルス対策のため人数制限が行われ、声援も禁止。環境の変化にも動じず快勝した勅使河原は「進化した姿を見せられた」と語る。
実戦から遠ざかった日々の鍛錬で得た「進化」は試合中、随所に見られた。
サウスポースタイルの河村に対し、勅使河原がノーガードに小刻みなステップでプレッシャーをかける。パンチをもらわないギリギリの絶妙な距離感だ。
間合いを詰めながら、体ごとぶつけるようなパンチで河村を下がらせ、警戒したところに強烈なボディ。「パンチを当てる能力が課題」と話していたが、この試合では理詰めな攻撃でパンチを集め、KO勝利に繋がった印象だった。
8月に取材した際もスティックミットで距離感を掴む、独特なトレーニングを取り入れていた。
加藤トレーナーとトレーニングする勅使河原(白いシャツ)撮影:木村悠
このメニューでの距離感とリズムワークの強化が、試合にも活きていた。
移籍した三迫ジムの加藤健太トレーナーとタッグを組み、「教えてもらったことで自信を持ってリングに上がることができた」と勅使河原。どのようにパンチを当てるべきかが明確になり、試合運びのレベルが格段に上がった。
試合後には「三迫ジム、輪島ジム、加藤トレーナーのお陰で感謝です。みなさんの応援があってリングに上がれている」と頭を下げた。
現在世界3位とあって、世界戦が組まれるのも間もなくだろう。
進化した勅使河原の世界挑戦に期待が高まる。
勅使河原 弘晶(てしがわら・ひろあき)
群馬県佐波郡玉村町出身。30歳。三迫ジム所属。第44代OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者。
元WBOアジアパシフィックバンタム級王者。ダンスをしながら入場するのが特徴的。
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