「全てのパンチに自信があります」。そう語ったのは、東洋太平洋スーパーバンタム級王者で、IBFでは世界3位にランクインしている勅使河原弘晶だ。
これまで、プロ21勝のうち14KOを誇り、強打を武器に勝ち続けてきた。
さっそくパンチを体験するためミットを持った。
対峙するとまず、打撃前のフットワークが特徴的だということに気づく。
多くの選手が体を回した遠心力を利用してパンチを放つ中、勅使河原の場合は踏み込みと体重移動を活かした打ち方だ。独特の小刻みなステップでリラックスした状態を保ち、力を一点に集中させて体ごと飛び込んで打つストレートとフックは、爆発するような衝撃を感じた。
これを頭部にもらったらひとたまりもないだろう。「ボクシングを始めてからひたすらサンドバッグに向かい合い作り上げた」というパンチは、ガードの上からでも十分脅威になりそうだ。
9月からチャンピオンが多く集まる三迫ジムに移籍し、新たな環境でボクシングを見つめ直している。課題だった試合でのパンチを当てる感覚、「当て感」も豊富なスパーリングパートナーとの切磋琢磨で向上の手応えを感じているようだ。
「今までで一番伸びていると感じています。次の試合でリングに上がった時、どれだけ進化しているのか楽しみです」
10月7日には東洋太平洋スーパーバンタム級15位の河村真吾(ミツキ)と防衛戦が決まっている。
ジム移籍後の初試合で、さらに進化した姿を見せてくれるだろう。
勅使河原 弘晶(てしがわら・ひろあき)
群馬県佐波郡玉村町出身。30歳。三迫ジム所属。第44代OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者。元WBOアジアパシフィックバンタム級王者。お気に入りの本は「ザ・シークレット」。
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