軽量級で世界戦を待ち望んでいるボクサーがいる。
東洋太平洋スーパーバンタム級王者・勅使河原弘晶(てしがわら・ひろあき)。
世界ランキングではWBC8位、IBF3位と高評価を得ている勅使河原のボクシングスタイルは、大胆で個性的だ。
なかでも注目すべきは「パンチ力を最大限に活かす体の使い方」だろう。
サンドバッグ打ちでも、左右に体重移動しながら、強打を打ち込んでいるのが分かる。
体重を乗せ切った、体ごとぶつけるようなパンチでここまで、21勝14KOと好成績を残してきた。
「判定は考えず、相手をKOすることだけを考えています」
相手を倒す強いパンチに磨きを掛けてきたのは過去に苦い経験があったからだ。
「ある試合で自分では勝ってると思ったら判定負けして悔しい思いをしました。そこから『だったら倒そう』と意識が変わりました」
思いをサンドバッグにぶつけるように、ひたすら強いパンチを打ち込み続け、最後に判定負けを喫した16年の試合以来、現在9連勝中。そのうち8回はKO勝利と結果が付いてきている。
「世界王者になるためだけにやっているので、常にモチベーションは高いです」
力強く語った勅使河原の世界への挑戦は近いはずだ。
勅使河原 弘晶(てしがわら・ひろあき)
群馬県佐波郡玉村町出身。30歳。輪島功一スポーツジム所属。 第44代OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者。元WBOアジアパシフィックバンタム級王者。「てっしー」の愛称で親しまれている。
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