スパン!という小気味よいパンチの音が、三迫ボクシングジムの高い天井に反響する。
「毎日刺激を受けて成長できる環境です」。今年9月に移籍してきた東洋太平洋スーパーバンタム級王者の勅使河原弘晶(トップ写真左)は、いきいきとした表情でトレーニングに励んでいた。
三迫ジムには現在8名のチャンピオンが在籍し、他ジムに所属する強豪選手の出げいこも多い。
この日勅使河原と手合わせしていたのは、BMBジムに所属するWBC世界ライトフライ級王者の拳四朗(トップ写真右)だ。
拳四朗(白のヘッドギア)とマスボクシングする勅使河原
勅使河原は「拳四朗くんは、的が小さいのでやりづらいし当てにくい。プレスの掛け方もうまく、めちゃくちゃ体も強い、刺激を受けます」と4階級下のチャンピオンを絶賛している。
動画を見ても、小刻みに動くステップワークやパンチを当てるタイミングなど、似ている部分が多くある。
お互いに得意な距離感があるため、この日も間合いの取り合いでなかなか手が出せないレベルの高いマスボクシングをしていた。これだけ緊張感のある練習が毎日できていれば実戦の間隔が空いていても、試合勘は研ぎ澄まされていくはずだ。
10月8日には、河村真吾を迎えて昨年12月以来の試合となる4度目の東洋太平洋の防衛戦に臨む。
拳四朗らとのスパーでさらに進化した勅使河原に注目だ。
勅使河原 弘晶(てしがわら・ひろあき)
群馬県佐波郡玉村町出身。30歳。三迫ジム所属。第44代OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者。元WBOアジアパシフィックバンタム級王者。尊敬するボクサーは輪島功一氏と長谷川穂積氏。
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