「判定決着ではなく、自分の力で倒す意識を持ってリングに上がります」
KO勝利にこだわるのはミドル級で日本&東洋のベルトを持つ竹迫司登(たけさこ・かずと)だ。
ミット打ちでは、一発一発、感触を確かめるように拳を叩きつけているのが印象的だ。
「場所によって当て方を変えています。アゴの場合は先端を打ち抜く意識で狙います。コメカミだと拳をめり込ませる感覚ですね」
アゴの先端へのパンチは相手の方向感覚を崩し、コメカミへのパンチは脳に衝撃をダイレクトに伝える。どちらも相手を一撃で倒すパンチだ。
普段の練習からフィニッシュブローを念頭に打ち分けることで、竹迫は倒す感覚を常に研ぎ澄ませる。パワーだけでなく冷静に発揮できる細かい技術がKO劇を支えている。
空き時間には動画サイトで4階級王者のサウル・アルバレスなど海外強豪選手の試合を見てノックアウトする技術を研究。「お客さんが喜んでくれるのでこだわりたい」。情熱は相当なものだ。
11月7日には日本ミドル級1位・国本陸と4度目となる防衛戦が決まっている。
「日本、東洋では圧勝し、世界ランカーと戦いたい」と展望を語る。
東洋から世界に向けての飛躍に期待したい。
竹迫司登(たけさこ・かずと)
大阪府寝屋川市出身。29歳。第61代日本ミドル級チャンピオン。第53代OPBF東洋太平洋ミドル級チャンピオン。ワールドスポーツボクシングジム所属。KO率の高さから「和製・ゴロフキン」と呼ばれている。戦績は13戦12勝0敗1分(11KO)
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