11月3日、大阪でWBA世界ライトフライ級タイトルマッチが行われる。国内での世界戦再開にファンの期待も高まる一方だ。
王者・京口紘人が迎え撃つのは、同級12位でタイ出身のタノンサック・シムシー。初の世界戦で情報が少ないが、どのような選手なのだろうか。
挑戦者は20歳と若いが、デビューから11連続KO勝利をおさめ、現在京口と同じく14戦14勝の戦績を誇る。
昨年12月時点の試合を見ても(動画、赤いグローブがタノンサック)、中間距離から放つアッパーやフックは破壊力があり、スタミナも豊富な選手だということが分かる。
ムエタイ経験があり、キックへの対処から懐が深いためパンチをもらいにくく、打たれ強いのも特徴だ。
攻撃面では、踏み込んでのワンツーや、交錯してからの右アッパー。さらにそこから体を返してのパンチが強烈だ。(動画1分30秒過ぎなど)
だが、中間距離で単発の怖さはあっても、近い距離での細かい攻撃は得意ではないようだ。接近戦では王者にかなりの分があると見る。
京口は試合中断期間に肉体改造を施し、細かい連打からKOに繋げられるパンチ力を身につけている。前半から距離を詰め、プレッシャーを掛けていけば早期決着もあり得るだろう。
両者の戦績は14戦全勝同士だが、過去対戦相手のレベルの高さは京口が上回っており、経験の差も大きい。
タノンサックは試合3週間以上前に来日して国内で調整している。入国してから2週間の隔離期間は、トレーナーとZoomを使ったフィジカルトレーニングに励み、コンディションも問題はないという。
10月24日、スパーリングで手を合わせた同級1位の久田哲也は、「試合直前に6Rのスパーリングをこなしていて状態の良さを感じる。ジャブを丁寧に打ってきて、右ストレートもキレイにまとめてくる。技術がありました」と評する。
王者有利は揺るがないが、勢いのある選手であることは間違いなく、京口にとっても1年ぶりの実戦となるため、何が起きても不思議ではない。
コロナ禍での試合中断後初となる国内での世界戦、ぜひ注目して欲しい。
京口紘人(きょうぐち・ひろと)
大阪府和泉市出身、26歳、右ファイター、元IBF世界ミニマム級王者。現WBA世界ライトフライ級スーパー王者。過去戦績14勝(9KO)。YouTuberチャンネルの登録者数は13万人を突破。11月3日の防衛戦は自身のYouTubeチャンネルで生配信。
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タノンサック・シムシー
タイ国出身、20歳、右ボクサー、過去戦績14勝(12KO)。WBA世界ライトフライ級12位。ムエタイからボクシングへ転向。
【木村悠「チャンピオンの視点」】