26日、元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾が、アマチュア時代のライバル・堤聖也とバンタム級10回戦を行い、ジム移籍後初戦を自身初となる引き分けで終えた。
世界王座にも就いたフライ級から2階級上げ、野木丈司トレーナーとともにパワーアップをメインに強化してきた。
6月、トレーニングを取材した際は、特製のドラム型ミットで身体を使った強打を練習し、一発で相手を倒すパンチを身につけようとしていた。
6月に特製ミットで練習する比嘉(右)
今回の試合では、前へプレッシャーをかけ一発を狙う比嘉と、前後左右に足を使う堤で対象的なスタイルの戦いとなった。
序盤、比嘉は強引に前に出ようとするが、それに対して堤は的を絞らせず、手数を出して応戦した。
パンチが当たらなかった比嘉も、中盤以降はジャブを起点として攻撃のリズムを掴む。しかし、堤の攻勢を増し、両者一歩も引かない展開となった。
ハイレベルな攻防の判定は1-0(96-94、95ー95、95-95)。審判のうち2人が引き分けを選択(1人は比嘉有利の判定)し、マジョリティードローとなった。
比嘉はパンチ力の強化は垣間見れたが、手数自体は少なかったのが印象的だった。
新しい階級での世界挑戦に一呼吸置く形となるが、落胆の色はない。試合後、「階級を上げて(も違和感のない)スピードもパワーもあった」と強化への手ごたえを語った。
「良い状態になるには2~3戦掛かると思っている。手数が倍になればさらに上がってくると思う」
今後は手数を増やす意識でトレーニングを積んでくることだろう。元々連打を武器にしていた選手なだけに、さらにバリエーションに富んだ戦い方を身につければ、これから連勝街道を歩んでいく可能性は高い。
一方、元世界王者と互角に戦った堤の評価は一気に上がるだろう。好勝負を演じた二人のライバル物語にも期待してきたい。
比嘉大吾(ひが・だいご)
沖縄県浦添市出身、25歳、右ファイター、元WBC世界フライ級王者。戦績16勝(16KO)1敗1分。デビューからの15戦連続KO勝利は日本記録タイ。趣味はYouTube鑑賞。
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堤聖也(つつみ・せいや)
熊本県熊本市出身、24歳、右ボクサーファイター、戦績5勝(4KO)2分。豊富なアマキャリアを経てプロデビュー。目標とするボクサーは、内山高志。比嘉とは13年高校総体決勝などで戦い、アマチュア時代の戦績は堤の2戦2勝。
【木村悠「チャンピオンの視点」】