13日(日本時間14日)にアメリカ合衆国テキサス州で行われた京口紘人のWBA世界ライトフライ級タイトルマッチ。
身長わずか146センチの同級10位アクセル・アラゴン・ベガを相手に、王者は前半は苦戦するも、途中からアウトボクシングに切り替えてペースを奪還。
5R、ベガが京口の頭部に右フックを放った際、拳を負傷しレフリーストップ。挑戦者の思わぬアクシデントもあり、TKOで3度目の防衛を達成しました。
Slow-Mo of Kyoguchi's stoppage. 😳 pic.twitter.com/7hh2mYuARg
— DAZN Boxing (@DAZNBoxing) March 14, 2021
読者の皆さんから頂いたアンケート結果をもとに試合のポイントを振り返ってみます。
身長差
「対戦相手が小さくてやりにくいみたいだった」(ヤナミキさん)
「相手が身長差を逆に活かし懐に潜り込んでいたように見えました」(H.T1983さん)
読者の方々が試合内容で最も挙げていたポイントは「身長差」についてでした。
階級制のスポーツであるボクシングで自分よりも16センチも低い相手と戦うのは珍しいことです。
王者も序盤は戸惑いが見えた一方、相手は普段から自分より大きな選手とやり慣れていることもあって先手を取って強打を振り回し、好スタートを切ったように感じました。
京口選手の技術①:スタイルの切り替え
「3Rとかの距離をとってジャブをつくのは有効だったと思います」(ボブハヤトさん)
「途中で戦い方を変えて距離を取り相手に付き合わなくなって、さあこれからと言う時に残念ですが、勝利したので良しとします」(無記名)
序盤の苦戦を取り戻したのは王者の「技術」でした。
転機となったのはボブハヤトさんも挙げている3R。王者はジャブを多用し、相手と距離を作ります。
普段はプレッシャーを掛けて前に出るファイタースタイルですが、アウトボクシングに切り替えました。
試合中にもかかわらず大胆なファイトスタイルの切り替え。器用さはもちろん、冷静に試合展開をとらえている部分はさすが王者といったところでしょう。
京口選手の技術②:冷静なパンチの選択
「結末は相手の拳の負傷といえども、京口選手のアッパーやボディーのうまさ、ディフェンス力の高さが目立った」(無記名)
「接近した時の左ボディと右アッパー。相手の良さを上手く消していました」(たかいさん)
3R以降、京口がさらに落ち着いた試合運びを見せます。序盤は得意のアッパーに対して、ベガがフックで応戦し、何発かもらっていました。
しかし、ジャブで距離が出来たことで、アッパーに対して踏み込みづらくなったベガはガードが体の中央に寄っていきます。それを見るや空いている左ボディへ強打。
相手のガードを見極めた冷静なパンチの選択も光っていました。
フィニッシュでも見せたKOへの執念
「やはり最後のTKOのシーンは印象的です」(Kenjiさん)
「拳痛めてのレフリーストップはちょっと肩透かし。でも勝つことが一番。これでいいと思いました。ダメージを与える身体を持っていることも実力」(E.Bさん)
読者の方々もびっくりしていたフィニッシュでしたが、普通、選手自身も驚いて立ちすくんでしまうような場面です。しかし王者は集中して相手を追い、ここでも冷静にアゴへの一撃。
勝利への執念も挑戦者をはるかに上回っていたと感じさせられました。
アメリカでの初戦、自身1年半ぶりの試合を勝ち切ったことで、世界に向けて「京口紘人」という名前をアピールする機会になったはずです。
中重量級が人気のアメリカですが、今回の試合のメインイベントは軽量級の世界スーパーフライ級王座統一戦。
昨年12月には英国のプロモーター、エディ・ハーン率いるマッチルームスポーツと契約し、今後海外での試合でアピールできるチャンスも増えるでしょう。
将来的には3階級制覇も視野に入れますが、当面はこの階級での長期防衛を目指し、試合後には「ビッグマッチのオファーが来るように精進したい」と語ってます。
その言葉通り、4月に行われるWBC王者・拳四朗VS久田哲也の勝者との統一戦の可能性が高まりそうです。
アンケートで寄せられた、熱い回答の数々
京口紘人(きょうぐち・ひろと)
大阪府和泉市出身、27歳、右ファイター、元IBF世界ミニマム級王者。現WBA世界ライトフライ級スーパー王者。ワタナベボクシングジム所属。戦績15勝(10KO)。YouTubeチャンネルの登録者数は14万人を突破。
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