3日、ライト級3冠王者(日本、アジア、東洋太平洋)吉野修一郎が、元スーパーライト級王者・細川バレンタインに判定で勝利し、日本王座6度目、アジアと東洋太平洋の初防衛に成功した。
左フックの強打が売りの王者だが、試合のポイントになったのは、今まであまり目にしなかったパンチだった。
吉野は、「右の返しを狙ってました」と語る。
長いリーチを生かして遠い間合いを保ちながら右、間髪入れずに体を返して左を放つ。不規則なタイミングの左ストレートは細川の顔面を何度も捉える。
体感したことのないタイミングでの攻撃は細川の前進を止め、結果としてこのパンチが判定勝利の大きな要因となった。
試合前に行った取材時の練習でも、吉野は「右の返しパンチ」を、サンドバッグに打ち込んでいる。
10秒地点、右を打ち込んだ後に素早く左ストレートを打ち込んでいる
相手が苦手な戦い方を選択するクレバーさに加え、不規則なタイミングでも強打ができるバランス力が吉野に新たな武器を身につけさせたようだ。
試合後には、「今後はまだどうなるかわかりませんが、早く世界に行きたい」と、素直な気持ちを吐露。
だがその前に絶対に避けては通れない相手がいる。
11月に元世界スーパーフェザー級王者・伊藤雅雪と、無敗の現役東洋太平洋スーパーフェザー級王者・三代大訓がライト級で激突する。
吉野は以前から伊藤との対戦を望んでおり、勝者と事実上の「国内ライト級最強決定戦」が実現しそうだ。
盛り上がる展開から目が離せない。
吉野修一郎(よしの・しゅういちろう)
栃木県鹿沼市出身。28歳。第62代日本ライト級王者。第47代OPBF東洋太平洋ライト級王者。現WBOアジアパシフィックライト級王者。三迫ボクシングジム所属。大卒後2年のブランクを経てプロデビューを果たす。戦績は13戦13勝10KOと負けなし。
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