バンタム級に階級を上げ、再び世界王者を目指す比嘉大吾。この階級のトップはWBA・IBFの統一王者で未だ無敗の「モンスター」井上尚弥だ。
比嘉も当然「同じ階級にいるのであれば戦わなければならない」と、対戦を望んでいる。
練習から見える、井上に対抗できる力
元来打たれ強く、防御にも優れる比嘉なら、絶対王者に対抗できるかもしれない。
比嘉は東洋太平洋フライ級王者だった16年、1階級上のWBOスーパーフライ級王者の井上とスパーリング経験がある。当時を振り返り「とにかくスピードが速いし、距離感がうまかった」と評価する一方、代名詞である「驚異的なパンチ力」については、意に介さなかったのか話が出なかった。
比嘉のディフェンスはパンチを避けながら前に出てプレッシャーを掛け、相手に十分な力を出させないのが特徴だ。
取材日に行われた足を止めてのディフェンス練習(トップ動画・右)でも、余裕があり、構えを崩さない。試合ならば距離を詰めて得意の連打が飛び出しそうだ。
とある元王者も井上に唯一対抗できる選手として、ハードパンチを削る防御力を持つ比嘉大吾の名前を挙げていた。
比嘉は「ここから這い上がっていくにはかなりの努力が必要」と強豪ぞろいの階級で一歩一歩進む覚悟。一人のファンとしても世界戦で日本人対決が実現する日を楽しみに待ちたい。
比嘉大吾(ひが・だいご)
沖縄県浦添市出身、24歳、元WBC世界フライ級王者。過去戦績16勝(16KO)1敗。18年4月、3度目の防衛戦で計量失敗によりライセンス無期限停止。19年9月停止処分解除。バンタム級で復活を期す。
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