減量苦により2階級上のバンタム級に挑戦する比嘉大吾。3月に所属していたジムを離れ、王者時代から信頼を寄せる野木丈司トレーナーと独自練習に取り組んでいる。その模様を撮影した。
目指すのは、あのレジェンド
フライ級では持ち味の連打でKOを量産してきた比嘉だが、野木氏は「バンタム級はひとまわり大きさが違う」と話し、特注の“ドラム型ミット”で新スタイル習得を目指しているという。
ドラム型ミットを構える野木トレーナー(黄色の服)にパンチを打ち込む比嘉
動画を見ると、体を入れ替える反動を利用してパンチを打ち込んでいるのが分かる。これは…ヘビー級のレジェンド、マイク・タイソンの打ち方だ。
「感覚やスタミナはブランクから戻ってきている。あとは、(ドラム型ミットの動きに対応して)踏ん張る動きをつけて、タイソンのように一発を強く打てれば」と野木氏は展望を語る。
比嘉も「野木さんは、僕がボクシングをやる上で一番大切な人」と全幅の信頼を寄せる恩師についていく覚悟だ。「できるだけ早くチャンピオンになりたい。そこからがスタート」と前を向く。
“軽量級のタイソン”に進化した比嘉がこれからもKO劇を続けていくことに期待したい。
比嘉大吾(ひが・だいご)
沖縄県浦添市出身、24歳、元WBC世界フライ級王者。過去戦績16勝(16KO)1敗。18年4月、3度目の防衛戦で計量失敗によりライセンス無期限停止。19年9月停止処分解除。バンタム級で復活を期す。
野木丈司(のぎ・じょうじ)
千葉県出身、60歳。ボクサーを引退したのち、トレーナーに転身。内藤大助(元WBCフライ級王者)らを育てる。
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