札幌戦前日(11月27日)の紅白戦で、浅野雄也は2度にわたって、ビッグチャンスを逃した。
裏をとるプレーの質は高い。ドリブルでボールも運べる。しかし、最後のプレーが物足りない。
レアンドロ・ペレイラとのワンツーで抜け出した浅野。クロスの精度が高ければゴールになった
そもそも、浅野の本質はシューターだ。アシストよりもゴール。そのメンタリティーは兄・拓磨(現バルチザン・ベオグラード)と変わらない。
しかし、根っからのストライカー・拓磨と違い、雄也はもっと器用だ。足下の技術は高いし、狭いところをすり抜けられる。
だからこそ、もっと高いレベルを期待したい。
トレーニングから決めるべきところはキチッと決めることに、こだわってほしい。
佐々木翔のスルーパスからシュート。決めないといけないシーン
おそらくそれは、本人が最もわかっているはずだ。
「自分が決めていれば勝点を落としていない試合もある」
間違いなく、彼は頑張っている。でも、だからこそ、「頑張れ」と言いたくなる。もっとできる、点がとれると信じているから。
11月27日の練習後、得点への渇望を告白する浅野
翌日の札幌戦は0-2とリードされる厳しい内容。しかし、2点目を失った直後、浅野は斜めのフリーランニングで佐々木のパスを引き出し、相手のプレスでボール1個分しかない狭い空間にクロスを通し、レアンドロ・ペレイラの追撃弾を演出した。
だがおそらく彼は、同点後の85分に訪れた、GKとの1対1を決めきれなかったことを悔いているはず。
決めていれば、2点差を逆転して勝てた。
1点目のアシストも立派なビッグプレー。だが浅野雄也は、誰よりもゴールを欲する若者なのである。
浅野雄也(あさの・ゆうや)
1997年2月17日生まれ。三重県出身。今年、期限付き移籍先の水戸から復帰し、ここまで5得点3アシストと主力選手へと成長。2020年の広島にとって最大の発見と言っていい。少年の頃から兄・拓磨と比較されて育ったが、その現実を力に変えて成長。「タクには感謝しています」と雄也は語る。
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