【サンフレッチェ広島】サポーターが見えないところでも頑張り続ける清水航平の姿を、ぜひお届けしたい
最近の練習場では定番の光景がある。清水航平が櫛引一紀、浅野雄也を引き連れ、練習後にジョギングをする姿だ。
11月19日も、秋晴れのもとで3人は走り、それに迫井深也コーチが付き合う。
清水が積極的に言葉を発し、他の選手たちが笑う。
今季はわずか2試合しか出場していないとはいえ、彼は広島の3度の優勝に大きく貢献したワイドアタッカー。
実績を残してきたプロ13年目のベテランが創る滑らかな空気が、周囲に笑顔を生み出しポジティブな雰囲気をつくり出す。
クールダウンの時は、ゆっくりと話ができるくらいの速度が適切。清水は話すだけでなく、後輩の聞き役に回ることもある
出場どころかベンチにも入れない状況下でも、彼は練習場でネガティブな態度を出したことがない。
常に笑顔で周りを盛り上げ、全力でトレーニングに取り組み、厳しい立場におかれている選手に声をかけ、時には厳しく𠮟咤することもある。
「辛い気持ちはわかる。だけど、そういう時の立ち振る舞いこそ大切。納得できないことがあっても、続けていくこと。どこでどう評価されるか、わからないから」
プロ13年目のベテランだからどんな時も平静でいられて当然、ではないのだ。
むしろ、ベテランだからこそ、試合に出る喜びを知っているからこそ、辛い。
しかし、その辛さをおくびにも出さない。今、できることをやり続けるのみ。
辛い時は取材に対応しない選手もいると聞くが、広島にはそういう選手はいないのが伝統。清水もしっかりと引き継いでいる
「もちろん、自信はあります。試合に出ている選手に自分が劣っているなんて、思わない。その自信がなくなると、それこそ何も残らないから」
サポーターには見えない場所で、プロフェッショナルは努力を続ける。
だからこそ、清水航平の頑張りをサポーターに届けたいと、切に願う。
清水航平(しみず・こうへい)
1989年4月30日生まれ。福岡県出身。東海大第五高時代はFWとして活躍。2006年のインターハイでは得点王にも輝いた。2008年10月25日、J2での対鳥栖戦で公式戦初出場初得点を記録。その後はサイドに主戦場に移して2012年には24試合4得点を記録、広島の初優勝に大きく貢献した。趣味は多彩だが、最近はもっぱら釣り。知り合いの船長と共に大海原で釣り糸をたれる。それも「三密」を避ける一環とのこと。
【中野和也の熱闘サンフレッチェ日誌】