もはや「プレーする伝説」と言っていい。キングの尊称がこれほど似合う男もいない。
11月14日、広島と対戦する横浜FCの至宝=三浦知良。11月8日、対神戸戦に出場しゲームの空気を変え、安永玲央の決勝点を導いた。
「僕が横浜FCにいた時から、ベンチにいるだけで雰囲気を出せるし、チームの士気があがる」
2016年途中までキング・カズのチームメイトだった野上結貴はそう証言する。
野上結貴、キングの存在感を絶賛
城福浩監督も「24時間、しっかりと準備しないと、まずトレーニングができない」とキングのブロ意識を称賛する。
城福監督もキング・カズをリスペクト
ただ、若者たちにとってのカズは、かなり遠い存在のようだ。
たとえばルーキー・土肥航大に「三浦知良とはどういう存在?」と尋ねると、「キング、じゃないですかね」とだけ。あとは「点をとりまくった人って感じしかないです」。
少年の頃はむしろ中村俊輔の全盛期。
「僕も左利きなんで、中村選手は意識して見ていました。カズさんはちょっと上というか、遠い存在です」
無理もない。カズは53歳で土肥は19歳。年齢差は34歳。
「ドーハの悲劇」も「ジョホールバルの歓喜」の時も、土肥は知らない。2001年、彼が生まれた年はキングは神戸でプレー。J1で最後に二桁得点を記録した年でもある。
「カズさんって何歳ですか?」
若者の質問に「53歳だよ」と返す。
「お父さん(とほぼ同じ年)じゃないですか!」
そう。だからこそ、三浦知良は伝説なのである。
土肥航大(どひ・こうだい)
2001年4月13日生まれ。大阪府出身。サンフレッチェ広島ユースで活躍し、昨年9月にプロ契約を果たした。左足を自在に操るテクニックとここぞという時にゴール前に顔を出すアグレッシブさ、そして明るい人間性が特長。9月5日、対札幌戦でJ1デビュー。
【中野和也の熱闘サンフレッチェ日誌】