日本バンタム級11位の堤聖也。
今年10月の試合では元世界王者の比嘉大吾を相手に下馬評を覆して善戦し、引き分けに持ち込んだ。周囲からの評価は高まっているが、その内容に戸惑いを感じているようだ。
「ここ2戦(2020年1月の中島一輝戦と10月の比嘉戦)は引き分け続きで、パワーがない選手というイメージがついているようです。よく言われるのは『技術・スピードがあって、頭のいい選手』。それも嬉しいんですけど、本当の一番の売りはパンチなんです」
足を使って元王者を翻弄した比嘉戦を見て、私も堤は経験豊富でテクニックのある選手だと思っていたので意外だった。
「一番の売り」と自負するパンチを体感してみたいと思い、ミットで受けてみることにした。
衝撃でミットが外れたほどだった
一発のパンチが重く、拳の硬さがミット越しの手から肩にまで響いてくる。途中、(動画27秒付近)ミットが吹き飛ばされるほどの衝撃だった。
その理由は当て方にあるようだ。ミット打ち後に、グローブを外した手を見せてもらうと手の皮がむけ、中指の付け根が盛り上がっていた。
強いパンチを打つには当てる場所が大事だ。拳の面ではなく、点(中指の付け根)で打つことで力が一点に集中し、衝撃が増す。遠目で試合を見ているだけでは分からない、技術に裏打ちされたパワーを感じることができた。
実際に受けてみて堤への評価が変わった。中量級と言われるバンタム級の中でも破格のパンチ力と言っても過言ではない。
「派手に一発でKOしてイメージを塗り替えたいです」
本人も“イメージチェンジ”へ自信をのぞかせ、その実力は十分だ。堤の次戦に期待が高まる。
堤聖也 (つつみ・せいや)
熊本県熊本市出身。24歳。角海老宝石ボクシングジム所属。戦績は7戦5勝(4KO)2分。同年代に井上拓真や田中恒成などがいる。
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