日本バンタム級11位の堤聖也が、一躍注目を集めている。
転機は10月に行われた元世界フライ級王者の比嘉大吾との試合だ。
双方のアマ時代から交流があり、お互いの家にも行き来するほどの仲。
「親友対決」と銘打たれた一戦は、連日多くのメディアに取り上げられ、会場も満員となった。
元王者に一日の長があると思われていた試合で、堤は互角以上の戦いを見せた。
持ち前のパワーで猛進してくる比嘉に対し、小刻みにサイドに動き、足を使いながらペースをつかませない。右でも左でも戦えるスイッチヒッターという特徴を生かし、翻弄し続けた。
結果は引き分け。
「自分の採点もドロー。やりたかったことは50%ぐらいしかできませんでしたが、自分の運動量に驚いた」
実は堤、プロでの実績こそまだ7戦と少ないが、アマ戦績は101戦84勝17敗(40RSC)とまさに百戦錬磨。
豊富な経験で培った力が本物であることを証明した。
そもそも堤と比嘉の因縁は7年前のアマチュア時まで遡る。
当時は堤が2戦2勝だったが、比嘉が一足先にプロデビューを果たし世界王者となったことで2人の立場は大きく変わった。
ライバルのプロでの活躍を見て、刺激になった事だろう。
試合後には、比嘉と食事に行く機会もあったといい、試合の時にどう思ったか、どのパンチが効いたか、計量の時のお互いの印象などを語り合ったそうだ。
11月の取材時はスイッチしながらのシャドーの練習をしていた
「まだまだ世界が近いとは思っていません、足りない部分はトレーナーと相談していきます」
親友との激戦を乗り越え、目標である世界王者を目指す。
堤聖也 (つつみ・せいや)
熊本県熊本市出身。24歳。角海老宝石ボクシングジム所属。戦績は7戦5勝(4KO)2分。同年代に井上拓真や田中恒成などがいる。
比嘉大吾(ひが・だいご)
沖縄県浦添市出身、25歳、右ファイター、元WBC世界フライ級王者。戦績16勝(16KO)1敗1分。デビューからの15戦連続KO勝利は日本記録タイ。趣味はYouTube鑑賞。
関連記事
・比嘉大吾が堤との激闘でつかんだ課題
・比嘉大吾が望む井上尚弥戦 対抗できる「武器」とは
【木村悠「チャンピオンの視点」】