現在世界ライトフライ級1位にランクインする、ベテラン・久田哲也(写真左)。
筆者・木村悠(写真右)は、プロボクサーとして現役だった当時、同じライトフライ級でしのぎを削り合い、2011年の日本タイトル挑戦権獲得トーナメントは久田と共に出場した経験がある。
久田は準決勝で接戦の末に敗れ、すでに決勝進出を決めていた私と対戦することはなかったが、それに安堵したのをよく覚えている。
彼は前傾姿勢のファイターで根性があり、パンチをもらっても、気にせずにどんどん前に出てくるタイプだ。
手数が多いため、足を使いながら距離をとって戦う私との相性が悪く非常にやりづらそうな印象があった。
その後、私は世界王座に就くことができ、2016年に現役を引退したが、久田は2017年に日本タイトルを獲得し、世界に向けて情熱を燃やし続けている。
現役時に意識していた久田の練習を見ていると、私も当時を思い出す。パンチを受けてみたくなりミットを持たせてもらった。
初めは同じ階級で戦っていたこともあったためか、様子を見ながら打ち込んでいた久田だが徐々にヒートアップ。
ワンツーの構えにしたところで、目つきが変わった。(動画30秒付近)
踏み込みながら体重を乗せて放つ連打は、重さがあり手応えがあった。
最近は一本歯の下駄(下写真)でバランスを鍛えている甲斐もあってか、パンチを打った後もまったく姿勢が崩れない。
これにより連打でも重いパンチを打ち込むことができている。
「年齢は関係ない、成長し続けることはできる」と久田は語る。常に新しい発想を取り入れ、向上心を持ち続けていることがトップレベルで現役を続けられる秘訣なのだろう。
2度目となる世界挑戦も近い。かつてのライバルの活躍を心から期待したい。
久田哲也(ひさだ・てつや)
大阪府堺市出身、35歳。第40代日本ライトフライ級王者。ハラダボクシングジム所属。戦績は46戦34勝(20KO)10敗2分。 ビジョントレーニングなど、様々なトレーニングを取り入れている。
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