「右に頼りがちですが、本当に強いのは左なんです」
元WBO世界スーパーフェザー級王者にして、ライト級へ転向した伊藤雅雪。アメリカで王座を奪取した試合では、右でダウンを奪っていた。しかし、実はパンチ力では左に自信があるようだ。さっそく受けて確かめてみた。
ジャブを受け、ワンツーから返しフックを受けたところ(動画30秒地点)で、ミットを持つ手が痺れた。
特に伸びのある右ストレートを打ってからの返しの左フックは、鋭い角度で当たればひとたまりもないだろう。ミット越しに拳の「硬さ」を感じるほどで、ライト級とは思えない。
ボクシングでは見ていて分かりやすい右のストレートやアッパーがKOに繋がると思われがちだが、一番KO率が高いのは左フックだ。
正面から来るパンチに対してフックは死角から飛んでくる。パンチの打ち終わりの隙に打ち込まれ、気付いたら倒れていたという選手も多い。
「今は左を強化しています。打ち方を意識し続けて自然に出せるようにしたい」。得意の右に左の武器が加われば、世界の強豪とも互角に戦えるだろう。
伊藤は来月、前OPBF東洋スーパーフェザ級王者・三代大訓と対戦する。
その先には、国内ライト級最強で3つのベルト(日本、東洋、アジア)を持つ吉野修一郎との対戦を見据えている。
「国内のボクシングが盛り上がるカードをやりたい。今回の試合に勝って、次戦うとしたら吉野との対戦以外考えられない」と意気込みを語った。
国内で盛り上がりを見せるライト級の戦線から目が離せない。
伊藤雅雪(いとう・まさゆき)
本名・伊藤 雅之。東京都江東区出身。29歳。元WBO世界スーパーフェザー級王者、第42代OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者。横浜光ボクシングジム所属。戦績は29戦26勝14KO2敗1分。
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