メキシコでの10年におよぶ武者修行を終え、今年日本復帰を果たした坂井祥紀。
海外の厳しい環境で身につけたパンチをぜひ体感してみたいと思い、ミットを手に取った。
やはり日本人選手はあまり打たない引き出しを多く持っている。右アッパーから、右ストレートのコンビネーションなどには驚いた。
また、全体的にスピードが速いため、相手選手は戸惑うだろう。
スピードの秘密は足元にある。踏み込みが非常に速いのだ。
その勢いを殺さずに、拳に力を伝えスピーディーなジャブを打っている。ストレートやフックを受けた手に、軽やかな踏み込みの衝撃が伝わってくるほどだ。
このスピードに加え、これからパンチの破壊力が増してくれば、世界での活躍も十分に期待できる。
坂井もパワーアップには既に着手している。元日本ミドル級王者の胡朋宏トレーナーが受けるミット打ちでは、10キロの重りを背負いながらパンチを打ち込んでいた。
重りを背負うことで持久力、パンチ力を鍛える一石二鳥のトレーニングだ
今は体力強化と並行して基礎を見直し、ベースアップを図っている。
既に37戦と十分なキャリアを積んでいるが、意外にも8月の日本復帰緒戦では「今までの中でもめちゃくちゃ緊張しました。絶対勝たないといけないプレッシャーがあり、みんなに見てもらうことで気合が入った」と語る。
ホームである日本での試合でリングに立つと、外国人としてがむしゃらに戦ったメキシコ時代とは違い、ファンの思いを背負うような心境になったようだ。
「面白い試合をして、日本のファンに好きになってもらいたい」。12月26日に行われる試合も楽しみだ。
坂井祥紀(さかい・しょうき)
兵庫県尼崎市出身。29歳。WBCスーパーライト級ユース王者。横浜光ボクシングジム所属。戦績は37戦24勝(13KO)11敗2分。12月26日に日本復帰の第2戦が決まっている。
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