ケガなどで19年9月以来、実戦から遠ざかっていた元WBO世界スーパーフェザー級王者・伊藤雅雪がライト級に階級を上げ、強豪・三代大訓と対戦する。12月26日の試合を約1か月半前に控えた、元チャンピオンの練習を取材した。
本来試合は11月に予定されていたが、自身の急性虫垂炎で延期。現在は回復し、試合に向けて強度の高いトレーニングを積んでいる。
この日はシャドーボクシングのみを集中的に行っていた。見ていると、10キロの重りを背負いながら、ダンベルを持ちながらなどバリエーションが豊富だ。
特に、高速でラッシュするそのスピードには驚かされた。
呼吸を止め高速ラッシュでシャドーを行い、体力強化、スピード強化をはかっている
「基本となるシャドーボクシングに様々な刺激を加える事で、実戦で戦い抜くスタミナや筋力も強化する事ができるんです」
シャドーだけでここまで変化をつけているボクサーは珍しい。
今回、階級を上げた事で減量はやや楽になるが、その分相手の体格やパンチ力や耐久力は増す。
ダンベルを手に持ち、筋力強化をはかる
これらの練習はスピードの維持とパンチ力強化に最適だ。自分で「何が足りないか」を考えて主体的に練習している。
本人も「ライト級が自分の適正階級。練習からいい動きができている」と手応えを感じているようだ。
「久々の試合に向けて準備することで『生きがい』を感じている。国内のボクシングを盛り上げたい」。レベルを上げた伊藤が、群雄割拠の国内中量級に新たな旋風を巻き起こす。
伊藤雅雪(いとう・まさゆき)
本名・伊藤 雅之。東京都江東区出身。29歳。元WBO世界スーパーフェザー級王者、第42代OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者。横浜光ボクシングジム所属。戦績は29戦26勝14KO2敗1分。
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