無敗の14連勝での日本王座防衛6回など、かつて「国内無敵」を誇った元日本スーパーライト級王者・岡田博喜。
2018年8月にはアメリカのボクシングプロモート大手・トップランク社と契約し、日本人としてはロンドン五輪金メダリストの村田諒太に次ぐ2人目の快挙を成し遂げた。
本場・アメリカの大手プロモーションに所属し、試合で注目されるとファイトマネーもけた違いに上がる。
大きな期待を背負いアメリカンドリームのスタートラインに立った岡田だったが、初戦の判定勝利以降、2試合連続KO負け。2019年は1勝もできずに終わった。
「海外で勝つためにはブレないメンタルが必要だと思い知りました。環境が変わって弱気になっていたのかもしれません」。当時を振り返り、悔しげな表情を見せる。
現在はそれを力に変えるべく、練習に打ち込んでいる。
打ち終わりに小刻みに体を動かし、相手の追撃をもらわないようポジションを変えている
サンドバッグ打ちでは、一発一発を丁寧に打ち込み、ガードの位置など細かいフォームを確認していた。
地道に、ディフェンスをイメージしながら打ち込んでいるのだ。
「当時一緒にトレーニングしていた海外の選手たちは基礎トレーニングを大切にして、細かいフォームにもこだわって何度も反復していました」
海外で喫したKO負けを機に、それまでおろそかにしがちだった基礎を見つめ直し、練習への向き合い方も変わったようだ。
12月14日には同級5位の富岡樹と試合が決まっている。この試合の内容によっては海外からのオファーが再び来る可能性もあり、負けられない試合だ。
「この試合を勝って、もう一度アメリカのリングに立ちたい」
再びあこがれの大舞台へ――。挫折を経て一皮むけた岡田に注目だ。
岡田博喜(おかだ・ひろき)
東京都中野区出身。30歳。第38代日本スーパーライト級王者。元WBOアジアパシフィックスーパーライト級王者。角海老宝石ボクシングジム所属。戦績は21戦19勝(13KO)2敗。米国のトップランク社と契約した日本人2人目のボクサー。
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