元世界スーパーフェザー級王者でライト級に階級を上げた伊藤雅雪と、前OPBF東洋スーパーフェザー級王者・三代大訓の決戦(12月26日)が近づいている。
ライト級は世界的に層が厚く、4団体のベルトを持つ新星のテオフィモ・ロペスを筆頭に、24戦全勝23KOのガーボンタ・デービスらの強豪がひしめき、多くのファンが熱い視線を向ける。
伊藤にとってライト級で世界王者に就けば2階級制覇達成となる。しかし「それよりもまずは、国内ボクシングを盛り上げたい気持ちがある」と語る。
2018年に世界王座に就いたのは本場・アメリカの地。その華々しい舞台での試合経験から国内試合のエンターテインメント性を高め、ファン、選手ともにもっと盛り上がるような舞台にしたいと考えているのだ。
三代との試合では、伊藤自らが運営者側に名を連ねる。スポンサーを集め、元世界王者の山中慎介氏やタレントの長嶋一茂氏ら豪華ゲストを招き、照明や演出も本人のこだわりが随所にあるそうだ。
ファイトマネーはないが、興行収入をジムと折半するという従来の国内試合では見られない手法を取り入れている。この方式であればファンを呼べる選手がより高い収入を得ることができ、定着すれば選手のモチベーションが高くなりそうだ。
アメリカで世界を獲った伊藤は、階級を上げてキャリアを再スタート。シャドーでもキレのある動きを見せる※11月撮影
もちろん一番大切なのは試合内容。決戦に向けた調整ではホルヘ・リナレスや中谷正義、尾川堅一ら強豪ともスパーリングで互角の戦いを見せているようだ。
11月には急性虫垂炎で入院となったが現在は全快。所属する横浜光ジム・石井一太郎会長は、「運動神経が抜群で世界トップとも互角に戦える」と太鼓判を押す。
国内ライト級の盟主は、3つのベルト(日本、アジア、東洋)を持つ吉野修一郎。
「ファンの皆さんに楽しんでもらえるような試合をして、勝って吉野と戦いたい」。まずは国内ライト級最強となり、世界2階級制覇を目指す。
伊藤雅雪(いとう・まさゆき)
本名・伊藤 雅之。東京都江東区出身。29歳。元WBO世界スーパーフェザー級王者、第42代OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者。横浜光ボクシングジム所属。戦績は29戦26勝14KO2敗1分。
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