WBCスーパーライト級ユース王者の坂井祥紀は、「逆輸入ボクサー」という珍しい肩書きを持つ。
高校卒業と同時に「経験を積むため」と、多くの世界王者を輩出するメキシコへ武者修行に旅立った。
門をたたいたロマンサジムは、21回連続王座防衛のリカルド・ロペスら数々の名王者を育ててきた名門だ。
現地では驚きの連続だったという。
到着当日にいきなりスパーリング。その3週間後にはジム主宰者である殿堂入りの名将ナチョ・ベリスタイン氏から直接見いだされ、当初予定になかったプロデビューが決まった。
デビュー後は5ヶ月で6試合のフル回転。日本では年に3試合ほどなので、とても考えられないペースだ。
「向こうでは全てにおいてルーズなんです。急に試合開催が決まったり、体重(制限)も2日前に2キロ増やしてと言われたこともあります」と苦笑する。
約10年の修業を経て、20年に帰国し、現在は横浜光ジムで世界を目指している。
特長は気迫で向かってくるメキシコ伝統の勇敢なファイタースタイル。練習でもロマンサジムのメニューをアレンジした独自のトレーニングを貫く。
メキシコ仕込みのトレーニングで、ボクシングに必要な足腰と体の連動性を鍛えていた
12月に試合も決まっており「面白い試合をしたい。今までの10年を無駄にせず、日本で成果を上げる」と意気込みも十分だ。
「日本が恋しい時もありましたが、こっちにいるとメキシコが恋しい。第二の故郷です」。異色ボクサーに注目だ。
坂井祥紀(さかい・しょうき)
兵庫県尼崎市出身。29歳。WBCスーパーライト級ユース王者。横浜光ボクシングジム所属。戦績は37戦24勝(13KO)11敗2分。12月26日に日本復帰の第2戦が決まっている。
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