メキシコで10年にプロデビューし、今年日本に戻ってきた「逆輸入ボクサー」の坂井祥紀。
過去37戦で1度もダウンしたことがないタフネスと好戦的なスタイルは数多くの実戦練習から自然と身についた。
当時所属していたロマンサジムではスパーリングばかりが練習メニューに組み込まれていたという。
日本のジムでは選手のダメージを考えて週に3回以上のスパーリングなど実戦練習は行わない。
メキシカンはファイタースタイルで体が頑丈な強い選手が多いが、こうした激しい練習を生き残って初めて表舞台に立てることもあるのだろう。
「このままでは体を壊されるのではないかと不安でした。だからこそまず死ぬ気でディフェンス技術を磨いたのです」
死にものぐるいで向かってくる彼らと張り合うにはパンチをもらわない技術はもちろん、相手を下がらせる攻撃力も不可欠だ。
日本のコンビネーションはスピード重視で、フィニッシュブローを強く当てることにこだわるが、メキシカンは強いパンチを連打する事で相手を下がらせKOにつなげる。
ロマンサジムの会長、名将ナチョからもコンビネーションは3発以上、全て強く打てと指導されたそうだ。
サンドバッグ打ちでもその名残があるのか、強いパンチを連打で打ち込んでいた。
バランスの悪い選手が連打するとパンチの打ち終わりに体がブレてしまうが、坂井は軸がしっかりしている。安定感のあるサンドバッグ打ちだった。
現在は得意の連打と接近戦を活かしながら、離れても戦える日本のスタイルを掛け合わせた独自の戦い方を模索している。
「トレーナーからマンツーマンで指導してもらう事で、技術的な部分と戦術的な部分で幅が広がった。まずは試合を見てもらいたいです」
来月の試合に向けて気合も十分。世界ランキング入りを目指し、まずは国内タイトル奪取を視野に入れる。個性派ボクサーの今後に注目だ。
坂井祥紀(さかい・しょうき)
兵庫県尼崎市出身。29歳。WBCスーパーライト級ユース王者。横浜光ボクシングジム所属。戦績は37戦24勝(13KO)11敗2分。12月26日に日本復帰の第2戦が決まっている。
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