「ファンの方が真剣勝負を望んでいるのは、ちょっと意外でした」
額ににじむ汗を拭って、岡村恭香は笑みをこぼす。
7月1~3日に開催された、クラウドファンディング大会『BEAT COVID-19 OPEN』。その支援者への“リターン”として、ファンとボールを打ち合った時のことだ。
今回、『岡村と30分打ち合える権利』を得た支援者の脇田英治さんは、「時間がもったいないです! こんな機会、まずないですから」と、休憩を取るのも惜しい様子。JTAランキング8位の岡村との「ガチ勝負」……それがファンの望みだった。
その想いに岡村も、手抜きなしのプレーで応える。
コロナ禍でツアーが中断になった間、岡村もSNSやクラウドファンディング大会などを通じ、今まで以上にファンの存在を身近に感じてきた。どんな人たちが応援してくれ、それらにどう応じていくべきかを、この間に彼女も学んできたのだろう。
「ファンの方に色んな形で応援してもらえて嬉しい。ツアーが再開したらプレーで返していきたい」
ファンの全力プレーが、岡村の心に打ち込んだ熱い楔。「プロの意義」を実感し、再開後のツアーへと向かっていく。
岡村恭香(おかむら・きょうか)
岡山県出身、24歳。ケガなどでランキングを落とした時期もあったが、昨年は好調のシーズンを送り、今年1月の全豪OPで自身初のグランドスラム予選出場を果たす。岡山トリビアを語らせればテニス界イチ。
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