「これ、キッツイ!!!」
アップテンポのミュージックが流れるジムに、選手たちの悲鳴が響く。
バーベルを何度も持ち上げた後に、立て続けにジャンプする。
スクワットの直後に、メディシンボールを壁に向かってチェストパスする。
ジムでの強化と並行し、ウェイトを手に廊下をサイドステップで往復する。
当事者たちの訴えを聞くまでもなく、キッツイのは見ているだけで明らかだ。
ウェイトトレーニングから、空中で足を入れ替える連続ジャンプへと移行する加藤未唯。悲鳴を上げつつも決して手は抜かない
トレーニングと聞くと筋力強化をイメージしがちだが、ツアー再開が8月末に迫った今、選手が重視すべきは、筋力をテニスの動きへと繋げること。
だからこそトレーニングメニューも、ウェイト系から瞬発系へと連動するものが増えていた。
上半身を重点的に鍛える日比野菜緒。スクワットからメディシンボールに繋げることで、コート上の動きに近づけていく
ちなみにこれらのメニューも、トレーナーの横山正吾氏によれば「コートでのトレーニングに移行していくための前段階」。
世界で戦う日に向けて、筋肉の一つひとつが統合されていくかのような緊張感。
ジムに響く選手たちの悲鳴に似た声は、ツアー再開接近を告げる号砲だ。
横山正吾(よこやま・しょうご)
高知県高知市出身。自らは高校時代まで野球に打ち込むも、国別対抗戦『デビスカップ』の日本代表アシスタントトレーナーとしてテニスの世界へ。趣味はウェイトトレーニング。
【内田暁「それぞれのセンターコート」】