ウィンブルドンの大会8日目となる、7月6日。
女子のシングルス準々決勝が行われたこの日から、ウィンブルドンのセンターコート及び1番コートは、100%の観客を入れての開催となった。
今大会は英国政府の、「リサーチ・プログラム」という位置づけ。当初は、準決勝及び決勝の100%観客動員を目指し、50%の上限でスタートした。その予定を前倒ししての100%は、昨年3月のパンデミック以降、英国スポーツイベントで初の試みである。
準々決勝からは観客の上限を設けずに試合が行われることに。席はほぼ埋まっている
今大会の観客に求められているのは、二度のワクチン接種証明か、抗原検査の陰性証明のいずれか。
抗原検査は、無料入手が可能な政府承認のキットを用いて自分で行えるものだ。この検査はメディアを含む関係者にも同様に求められる。
入国以来、PCRテストも自分でやってきた身としては、既に検査は手慣れたもの。綿棒で咽頭と鼻咽喉をぬぐい、試験紙に浸すと数分で結果が得られる。
そうして得た結果を、NHS(国民健康サービス)のHPに登録すると、Eメールで証明書が送られてくるシステムだ。
迎えた7月6日は、朝から断続的に雨が落ちる、あいにくの悪天候。
ただ、屋根が閉じたセンターコートは、15,000人に迫る観客の声と熱に満たされ、“満員”の雰囲気を一層際立たせた。
記念すべき日にセンターコートに組まれた2試合も、観客を楽しませるに十分な内容だった。
超パワーヒッターのアリナ・サバレンカが、超トリッキーなオンス・ジャバーを力でねじ伏せる。
世界1位のアシュリー・バーティは、同国の盟友アイラ・トムラノビッチの挑戦をクールに退けた。
「勝った、負けたは関係ない。記憶に残るのは、この素晴らしい雰囲気と、その時にコート上で覚えた感情」
久々に浴びる大歓声に、バーティは感動を隠せぬ様子だった。
一方でロジャー・フェデラーは、100%の観客動員について「信じがたい雰囲気になるだろう」と待ちわびながらも、「まだ完全に、以前の状態に戻ったとは思えない」と慎重な姿勢も崩さない。
「リサーチ」は、まだ始まったばかり。結果が出るのは、もう少し先になりそうだ。
【内田暁「それぞれのセンターコート」】