オンス・ジャバー。
かなりのテニスファンでなければ、あまり馴染のない名かもしれない。
ただ識者や関係者の間では、相当な人気を誇る選手でもある。
第一に、プレースタイルが面白い。
第2セットのセットポイントで、リターンでドロップショットを決めるジャバー(動画奥)。相手に与える精神的ダメージは計り知れない。
ドロップショットにスライスに、女子選手では珍しい股抜きショットも! 何が飛び出すか分からないそのテニスは、まるで技のびっくり箱。見ていて飽きることがない。
第二に、ご本人のキャラが面白い(らしい)。
福岡と久留米のITF(ツアーの下部カテゴリー)で2大会連続優勝していることもあり、ジャバーは日本の関係者にも良く知れた存在。
それら彼女を知る人からは、「突然飛び出してきて人を驚かせたりする」「いたずらをするのが好き」という噂を耳にした。
そんな彼女の人間性は、プレーにも反映されていると、本人も笑って認める。
「私は飽きっぽいから、ルーティーンが嫌いだし、常に違うショットが打ちたくなる。コートで楽しみたいと思う気持ちは、オフコートでジョークを言っている時と同じなの」
そんなコート内外でエンターテイナーなジャバーは、ウィンブルドン4回戦で、世界9位のイガ・シフィオンテクを破りベスト8進出。
日本時間6日午後10時半開始予定の準々決勝の相手は、ツアーきってのパワープレーヤーで、第2シードのアリヤ・サバレンカ。
剛腕相手に、業師がいかなるプレーを見せるか?
試合結果を問わず、見て絶対に損のない選手だ。
オンス・ジャバー
1994年8月28日生まれ、チュニジア出身。167㎝と決して大柄ではないが、豊富なショットで相手を翻弄。高速サーブや強打も兼備する。今年6月のバーミンガム大会でWTAツアー初優勝。同時に、アラブ系女性選手初のツアー優勝者となった。
【内田暁「それぞれのセンターコート」】