「蝶のように舞い、蜂のように刺す」
レジェンド、モハメド・アリのスタイルを表現したフレーズだ。
「激カワボクサー」として人気の女子日本ミニマム級王者・千本瑞規も、華麗なフットーワークと刺すような鋭いパンチを駆使してその言葉を体現していると感じた。
「世界レベルのボクシングを見ると、いかにディフェンスが大切なのか分かります。常に動くことで的を絞らせないようにしています」
リングを縦横無尽に動き回る姿はアリを彷彿とさせる
対面でのシャドーを見ると、パンチを打ちながら攻撃をかわすかのようにサイドに動く。実戦では相手がカウンターを取ろうとしてもそこに千本の姿はないはずだ。
「打ち終わりには必ず動いて、自分の距離を保ちます。距離感はアマで磨き上げたので負けません」
短い3R制でポイント重視のアマチュアでは、打たせないで打つボクシングが必要だ。
彼女はかつて東京五輪の候補として名を連ねたトップアマ。プロの試合でも、抜群の距離感覚で常に試合を優位に進めてきた自負がある。
待望の試合が5月23日に決まっていたが、新型コロナウイルスの影響で6月7日に延期となった。
「試合ができることの喜びを感じながら、しっかり準備しています。勝つのは私です。当日は楽しみにしててください!」
突然の延期もあったが、すでに気持ちを切り替えている。
相手は元世界王者の黒木優子、世界への足掛かりとして申し分ない相手だ。
この試合で実力を示せるか。注目の一戦だ。
千本瑞規(ちもと・みずき)
大阪府堺市出身、27歳、ワタナベボクシングジム所属、第3代日本女子ミニマム級王者。プロ戦績は2戦2勝(1KO)、アマチュア戦績は57戦45勝12敗。兄の影響でボクシングを始めた。高校生で世界ジュニアユース日本代表に選ばれ、大学進学後は2015年全日本選手権準優勝を果たした。
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