「2年ぶりの試合が決まって本当に楽しみです」
コロナ禍などによる影響で遠ざかっていた試合が決まり、弾けるような笑顔を見せるのは女子日本ミニマム級王者・千本瑞規。
その愛らしいルックスから一部で「激カワボクサー」とも呼ばれる注目の選手だ。
中学時、ジムに通っていた兄の影響でボクシングに興味を持ったという。
反対する母に、「ボクシングがやりたいです」と1年以上も毎日訴え続け、許されたことから彼女のひたむきな性格がうかがえる。
今でもその思いは変わらない。オフの日も、家からほとんど出ずに体を休めることだけを考え過ごすことが多いという。たまに趣味でもあるファッション・美容関係の買い物に出かけることが唯一の息抜きだ。
「ボクシングはめちゃくちゃ頭を使いますよね、その駆け引きが好きなんです。考えれば考えるほど刺激になって楽しい」
取材時も彼女のストイックな姿勢が垣間見えた。
1本下駄トレーニングはバランスを養うにも、もってこいのトレーニングだ
練習前は必ず足場の不安定な1本足の下駄を履き、準備する。日常では感じられないフォームのずれがないか確認するのだという。
「もともと敏感なので、ほんの少しのフォームの違いも気になります。毎日チェックして練習で微調整しています」
これだけ細部に徹底して取り組む選手は、男子も含めて稀だろう。それほど彼女の日々はボクシングに捧げられている。
次戦は、5月23日に空位のOPBF東洋太平洋女子同級王座を懸けて元世界王者の黒木優子との対戦が決まった。
「実績ある選手なので光栄ですが、しっかり勝ちたいです。世界王者になって他団体まで取るつもりです」とモチベーションも高い。
女子ボクシングにとって象徴的な存在になるべく、研さんを積んでいく。
千本瑞規(ちもと・みずき)
大阪府堺市出身、26歳、ワタナベボクシングジム所属、第3代日本女子ミニマム級王者。プロ戦績は2戦2勝(1KO)、アマチュア戦績は57戦45勝12敗。兄の影響でボクシングを始めた。高校生で世界ジュニアユース日本代表に選ばれ、大学進学後は2015年全日本選手権準優勝を果たした。
【木村悠「チャンピオンの視点」】