シャドーボクシングは「ボクシングの基礎」とされ、見れば選手の実力がわかると言われている。
今回、特別に試合を控えた3階級王者ホルヘ・リナレスに相手を想定してシャドーを披露してもらった。
圧巻の美しさだった。帝拳ジム代表として数々の名王者を育て、自身も元世界王者の浜田剛史氏も「基礎がしっかりしていてお手本になる選手」と太鼓判を押すほどだ。
パンチのスピードを出すために重要なのは、力まないこと。
一方で、スピードを求めすぎるとパワーが出ない。パワーを出すためには当たる瞬間に拳を握り込むことが大切だ。
リナレスのシャドーを見ると、特に右のストレートのインパクトをしっかりと意識している。
モーションがない上にインパクトへの意識も的確なので、相手に与えるダメージは大きそうだ。打つときに「フッ」と呼吸を連動させることで、体幹も使い、強いパンチを打てている。
ジムワークで少し力を入れたシャドーでは、足から上半身へ連動していることがよく分かる。地面の力をうまく使って、パンチが打ち込まれているため強くを連打することができる。
まさにお手本。無駄なく、基本に則った教科書のようなボクシングは、17歳で来日してから受けた指導をコツコツと実践してきた賜物だ。他の日本人ボクサー達からも尊敬を集め、目標とされている。
今月末にアメリカで世界戦が決まっている。勝てば3年ぶりの王座復帰となる大一番だ。
「チャンピオンになって、日本で試合がしたい。(日本のファンに)勝利をプレゼントする」
ベネズエラ生まれ、日本育ちのサムライ・リナレスの快進撃に注目だ。
ホルヘ・リナレス
ベネズエラバリナス州バリナス出身、35歳、帝拳ジム所属、元WBC世界フェザー級、元WBA世界スーパーフェザー級、元WBC・WBA世界ライト級王者。ニックネームは「El Niño de Oro(ゴールデンボーイ)」。
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