日本人離れした筋骨隆々の身体を誇る、重量級のホープ・井上岳志(写真右)。
昨年1月、初となる世界戦で無敗の王者ハイメ・ムンギアに惜敗し、巻き返しを図っている。
「今はこの人についていけば強くなれると信じてやっています」と井上が目を向けるのは、所属するワールドスポーツボクシングジムの齊田竜也会長(写真左)だ。
井上にとって高校・大学の先輩なだけでなく、もともと警官志望だった彼に、熱心な誘いでプロになるきっかけを作ってくれた恩人でもある。
齊田会長も「井上のフィジカルはものすごい。ひとつやふたつ階級差があっても見劣りしない」とスケールの大きさに惚れこんでおり、師弟の絆は強い。
遠目でも分かるくらいの筋骨隆々な体が井上の特長だ
井上はこれまで強靭な身体を活かし、接近戦での強烈なアッパー、フックを主体に勝ち上がってきた。
世界戦後、会長が井上に求めたのは『打たせずに打つ』スタイルへの変更だという。
「遠い距離で戦わなければ世界で通用しない。そのためにはストレートを打て」。今まで通りの近い距離だけではリスクを伴う。遠い距離からのストレートでポイントをとることができれば、接近戦での強さがよりいきるという狙いだ。
助言を受けた世界戦後は、全ての試合を2ラウンド以内にKOで3連勝中。遠い間合いからプレッシャーを与える組み立てが、良い結果に結びついている。
「教わっても吸収が遅い自分に根気よく接してくれる」と井上。師から伝授された「世界を目指す新スタイル」に手ごたえは十分だ。
11月7日にはワチュク・ナァツ(マーベラス)とのノンタイトル戦が予定されている。師弟二人三脚でさらなる進化を見せてくれることに期待したい。
井上岳志(いのうえ・たけし)
東京都足立区出身。30歳。第37代日本スーパーウェルター級王者、第35代OPBF東洋太平洋スーパーウェルター級王者。現WBOアジア太平洋スーパーウェルター級王者。ワールドスポーツボクシングジム所属。戦績は18戦16勝(10KO)1敗1分。海外ボクシングをYouTubeで研究している。
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