サンドバッグを相手に見立てて、器用に動いているのは現東洋太平洋ウェルター級チャンピオンの長濱陸(ながはま・りく)だ。
今年2月、当時無敗でKO率75%の王者・クドゥラ金子にタイトルマッチを挑んだ。
下馬評では圧倒的不利だったが、フットワークとスピーディーな連打で王者を翻弄。3-0の大差で勝利し、ベルトを手にした。
動画のトレーニングでは、体の位置を入れ替えてパンチを打ち込んでいる。ランダムに動くサンドバッグを器用にかわしながら、タイトルマッチで見せた素早いステップを踏む。
白井・具志堅ジムに入門した当初はダイエットが目的でプロになるつもりはなかった。しかし、同郷沖縄の英雄から掛けられた言葉で人生が変わったという。
「サンドバッグ打ちを具志堅用高会長に褒められました。それが嬉しくて天狗になってプロデビューしてしまいました。会長はテレビで見る印象とは違って、厳しくて、威厳のある人でした」
英雄に認められたサンドバッグ打ちと、そこで鍛えたフットワークこそが長濱の原点。
磨き上げたステップを活かして、世界を目指す。
長濱陸(ながはま・りく)
沖縄県那覇市出身。28歳。第41代OPBF東洋太平洋ウェルター級王者。
100kgあった体重を減らす目的で白井・具志堅ボクシングジムへ入門。その後、角海老ボクシングジムに移籍。
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