珍しいスタイルで活躍している男がいる。現WBA世界フェザー級1位の大沢宏晋(おおさわ・ひろしげ)だ。
大沢は、現役介護士として働きながら世界ランカーという異色の経歴だけでなく、あまり例がない「左利きの」右ボクサーだ。
通常ボクシングでは、利き腕をフィニッシュブローにするため、左利きの場合は左手左足を下げた「左構え」となる。
左構えの選手は少ないため有利に戦えるケースも多く、右利きでありながら転向する選手もいるほどだ。
しかし、大沢の考えは違う。
「左を制するものが世界を制すとよく言われますけど、それなら多く使えた方がいいと思いました」と、あえて右構えを選択することで、前に出た左を多用できると考えたのだ。
トップ動画のシャドーを見ても、左のパンチを器用に使いこなし、左を中心にボクシングで組み立てている。
利き腕が前の手にあるため、アッパーやフックなども器用に使いこなしていた。
また、1発1発のパンチも力強い。相手はジャブでも気が抜けないはずだ。
「今は前だけ向いて準備していきます」
2016年に挑戦失敗して以来、2度目となる世界戦の舞台を見据え、得意の左を武器に世界王者を目指す。
大沢宏晋(おおさわ・ひろしげ)
大阪府大阪市出身。35歳。第42代OPBF東洋太平洋フェザー級王者。現在WBA世界フェザー級1位。介護士ボクサーとして二刀流で世界王者を目指す。
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