ボクサーにとってトレーナーは必要不可欠な存在。チャンピオンの隣には、いつも名トレーナーがいるものだ。
4年ぶりの世界戦を目指すWBA世界フェザー級1位・大沢宏晋は、今年1月から、異例と言える同級生とのコンビを組んだ。相方の小島宏樹トレーナーは元プロボクサーで、所属ジムは違うが現役時代には出稽古で切磋琢磨する仲だったという。
もともと小島氏の分析力に一目を置いていた大沢が「世界の舞台を目指すために必要な存在」と考え、頼み込んだ。現在は毎日片道1時間を掛けて通い、指導を受けている。
練習を取材すると、分析力以外にも小島氏を必要とする理由を見ることができた。
動画を見ると、お互い多くの言葉を発さなくても、素早く出されたミットにパンチがタイミング良く打ち込まれていることが分かる。息がピッタリ合ったミット打ちだ。
ミット打ちは選手のクセや打ち方を修正したり、試合に向けて作戦を練ったりするのに大事な練習。気持ちよく打てることでモチベーションも高まる。選手として拳を合わせた仲だからこその「阿吽の呼吸」を大沢も求めていたのだろう。
「毎日ジムに行きたいと思わせてくれるような充実したトレーニングができています。コンディションも前回の世界戦の時よりも上がってきている」と大沢。小島氏も「実戦で勝てる方法を追求していきます」と支える覚悟だ。
2度目の世界チャレンジまであと一歩のところまで来ている。二人三脚で世界王者を目指す。
大沢宏晋(おおさわ・ひろしげ)
大阪府大阪市出身。35歳。第42代OPBF東洋太平洋フェザー級王者。現在WBA世界フェザー級1位。介護士ボクサーとして二刀流で世界王者を目指す。
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小島宏樹(こじま・ひろき)
大阪府寝屋川市出身。35歳。2004年スーパーフライ級西日本新人王。戦績10戦7勝3敗(2KO)。2006年に現役引退。
現在は大沢の為にトレーナーライセンスを取得し、大沢が引退するまでの期間限定でタッグを組んでいる。
【木村悠「チャンピオンの視点」】