ボクシングの聖地ラスベガスに降り立った中谷正義。メディカルチェックを終え、いよいよ決戦間近だ。
事前にオープンチャットで参加者に募集した、質問をぶつけてみた。
日本とアメリカで試合をする上で、大きな違いなどが有りましたら教えて下さい。
アメリカでの試合が通算3度目となる中谷は、海外での試合についてこのように分析する。
「日本人が海外(アメリカ)で勝てない理由は『アメリカのリング』を知らないからだと思います。実力が拮抗していても、試合での想定外が大きな差になります」
アメリカデビュー戦となった19年7月のティオフィモ・ロペス(現世界ライト級4団体統一王者)戦でも、中谷はそれを感じたようだ。
「クリンチをほどくタイミング、反則の基準が違い戦略を立てづらく感じました。リングに向かうまでもぶっつけ本番でした」
日本では王者クラスの試合会場は限られているため、いつものルーティーンで試合に臨めるが、海外ではそれが難しい。試合前の選手にとってささいな“想定外”がミスにつながることもあるという。
2回のアメリカ戦を経験して精神的にもタフになり、今回は万全の体制で臨める、と自信を見せる。
相手は現役最強王者との呼び声も高いロマチェンコ。これまの対戦で一番のビッグネームとなるが、中谷はこの試合を冷静に見ている。
「今回の試合は通過点。目指すのはあくまでも世界チャンピオンです。日本で生きる中で、世界でどういう相手と戦ったかは関係ない。肩書きで判断されるんです」
視野に入れるのはロペスとの再戦だ。
良いニュースも入った。ロペスが中谷と同じトップランク社との契約を決めたのだ。
ボクシングではプロモーターが違うとマッチメイクが難航するが、同じであれば決まりやすい。勝利が、4つのベルトを持つロペスとの対戦へと確実に繋がる。
「ロマチェンコ戦が決まって僕を知ってくれた人もいる。今回の試合を通じてボクシングの楽しさや元気を与えられる試合をしたい。楽しみにしていてください」
下馬評で圧倒的有利なのはロマチェンコだが、前回のベルデホ戦でも大逆転を演じ、勝負強さを見せた。
聖地ラスベガスでの熱い一戦を期待したい。
中谷正義(なかたに・まさよし)
大阪府大阪市出身、32歳、帝拳ボクシングジム所属、WBOインターコンチネンタルライト級王者、第46代OPBF東洋太平洋ライト級王者。戦績は19戦 18勝(12KO)1敗。興國高等学校では同期の井岡一翔、宮崎亮、上谷雄太、岡山翎洙とともに全国大会に出場し「興國5人衆」と呼ばれていた。
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