国内ライト級注目カードまであと1ヶ月を切った。
7月3日、元日本スーパーライト級王者・細川バレンタインが、元WBO世界スーパーフェザー級王者・伊藤雅雪と対戦する。
ともに前戦に敗れ、再起戦。国内ライト級トップ戦線の生き残りをかけての激突となる。
プロボクシングは戦績がとても重視される。ひとつの負けがその選手の競技人生を決めると言っても過言ではない。
そんな中、再起を期す者同士が戦うことに、ファンやボクシング関係者も驚いた。敗れた場合のリスクも大きいからだ。
「前から伊藤選手と戦いたいと思っていた。周囲が期待してくれるような試合を、この歳でも組んでもらえるのが嬉しい」
40歳になった細川だが、未だ現役トップ選手として強さを誇る。
「自分の体が旬じゃないのはわかっている。でもボクシングの技術は上がっている実感がある」
今だに進化していると語る技術。それは基礎となるシャドーボクシングから垣間見えた。
鏡を見ながら相手を想定し、頭の中にイメージを染み込ませる
「(相手が)強い選手だからって特別なトレーニングはしていない。小さな積み重ねが他の人と大きな差をつける」
細川が語る通り、シャドーをアップとして行うのではなく、体重移動のバランス、コンパクトな打撃を意識しながら丁寧に動いている。
「基礎が一番大切です。毎日気づきがあるし、今は純粋にボクシングが楽しい」
過去の細川は身体能力に頼った粗さもあるイメージだったが、払しょくされた。基礎を丁寧に行い、体と対話し続けることで現在もトップ選手として活躍できるのだろう。
「挑戦者の気持ちになれている自分が一番強い」そう楽しそうに語った細川。今までのキャリアは関係ない。純粋な挑戦者として伊藤に挑む。
細川バレンタイン(ほそかわ・ばれんたいん)
宮崎県宮崎市出身、40歳、角海老宝石ボクシングジム所属、第40代日本スーパーライト級王者。戦績は36戦25勝(12KO)8敗3分。ナイジェリア人の父、日本人の母を持つ。弟は元OPBF東洋太平洋ミドル級王者の細川チャーリー忍。
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