WBO世界ライト級5位の中谷正義は、6月26日(日本時間27日)に聖地・ラスベガスで世界3階級王者のワシル・ロマチェンコと対戦する。
「普通ではありえないですよね」と中谷は夢のマッチメイクを語る。
「いつかやりたいと考えていましたが、本当に決まって帝拳ジムの本田会長の凄さを感じました。感謝しかない」
ロマチェンコは、五輪2大会金メダル、世界最速の12戦目で3階級制覇の実績を持つ現役レジェンド。ボクシング史上、日本人選手が対する相手としてはもっともビッグネームと言っても過言ではない。
レジェンドも気を緩めるつもりはない。自身のSNSでは、中谷を「私にとってのトップ・オポーネント(最強の敵)だ」と表現している。
事前に期間限定(6/27まで)のオープンチャットで参加者の方から質問や意見を募ったところ、多く寄せられたのが「距離感」や「リーチ差」を活かした戦い方についてだった。
シミュレーションとしてもし距離感操作を意識して試合したら、どのくらいロマチェンコを捌ける自信がありますか?
身長で12センチ、リーチで14センチ上回る中谷自身も、冷静に長所を捉え「実績では天と地の開きがあるが、勝機はある。特に体格差と距離は通じる」と語る。
しかし、さらにポイントがあると言う。
「パンチ力も勝っていると思います。ロマチェンコはスピードがあって顔に当てにくいと思うので、ボディを中心に攻めることも考えたい」
2階級下のフェザー級から上がってきた小柄なレジェンドに対し、自身はライト級オーバーの体格。ロマチェンコの予測不能な動きに対して、接近戦を力で迎え撃つ覚悟だ。
遠い距離で的確に当て、近い距離もパワーで制し、自分のペースに持ち込めば十分に勝つチャンスはありそうだ。
「勝ってロペス(現世界ライト級4団体統一王者テオフィモ・ロペス)と世界戦が決まれば嬉しい。世界チャンピオンになるのが一番の目標です」
層が厚いライト級で日本人が世界王者になったのは、ガッツ石松、畑山隆則、小堀佑介の3人しかいない。
世界的に注目される試合だが、下馬評はロマチェンコ圧倒的優位。覆せるか。中谷の意地を見せてもらいたい。
中谷正義(なかたに・まさよし)
大阪府大阪市出身、32歳、帝拳ボクシングジム所属、WBOインターコンチネンタルライト級王者、第46代OPBF東洋太平洋ライト級王者。戦績は19戦 18勝(12KO)1敗。興國高等学校では同期の井岡一翔、宮崎亮、上谷雄太、岡山翎洙とともに全国大会に出場し「興國5人衆」と呼ばれていた。
※トップ画像Ⓒ帝拳ジム提供
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