いよいよ1週間後に迫った、ライト級のビッグマッチ。
世界的なビッグネームのワシル・ロマチェンコと日本の中谷正義が対戦する。中谷は昨年の12月、より世界挑戦に最適な環境を求め、帝拳ジムに移籍した。
「帝拳ってものすごく厳しいと覚悟していました。でも萎縮しないちょうど良い具合の厳しさで、プロ意識を育てていける環境です」
近い階級で8月に世界戦を控える尾川堅一や、ホルヘ・リナレスら強豪のジムメイトと切磋琢磨しているという。
事前にオープンチャットで参加者に募集した、質問をぶつけてみた。
リナレス選手からアドバイスあったのか?あったのならどんなアドバイスだったか?それを踏まえて中谷選手がとる戦術を聞いてほしいです。
ロマチェンコと対戦経験があるリナレスからは、具体的な動きの他にも気持ちの面で背中を押されたという。
「前回のベルデホ戦の時にもスパーリングをしていて、試合が決まった時にメンタル面でアドバイスをもらいました」
リナレスも「ロマチェンコは自分と戦った時より(力が)落ちている」と語っており、「中谷なら必ずやれる」とリラックスするよう、言葉を掛けられたようだ。
金言をもらったのはリナレスからだけではない。前所属先では自らが後輩を引っ張る立場だったが、帝拳ジムは最前線で奮闘する先輩ボクサーも豊富。頼れる存在としてWBA世界ミドル級王者・村田諒太の名前を挙げた。
「試合ではつい気持ちが出ちゃうタイプで強く当てたいと先行しちゃいます。村田さんから全部当てにいくのではなく、フェイントを入れた方がいいとアドバイスして頂き、気が楽になりました」
中谷は気の強いタイプのボクサー。気負ってパンチを当てに行っても、予測不能な動きが持ち味のロマチェンコ相手には一筋縄ではいかない。
リナレス、村田からの金言で、攻守のバランスが取れた試合運びを見据えている中谷は試合に向け、トレーナーに素手でパンチを打ってディフェンスを磨いている。
グローブをつけない拳は、練習でも緊張感が違う。これにより実戦感覚を研ぎ澄ませている。
「それをやってから調子が上がった。冷静な状態でディフェンスと攻撃のバランスを組み立てることができるようになりました。慎重かつ大胆に戦っていきます」
限られた期間の中でも自分のベストが出せるよう、スタイルも変えて仕上げてきた。
「世界を獲るのとそうではないのでは、大きく違う。これからのためにも世界チャンピオンになりたい」。まさに人生をかけた一戦に挑む。
中谷正義(なかたに・まさよし)
大阪府大阪市出身、32歳、帝拳ボクシングジム所属、WBOインターコンチネンタルライト級王者、第46代OPBF東洋太平洋ライト級王者。戦績は19戦 18勝(12KO)1敗。興國高等学校では同期の井岡一翔、宮崎亮、上谷雄太、岡山翎洙とともに全国大会に出場し「興國5人衆」と呼ばれていた。
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