「家族みんながレッズのファンで、埼スタには数え切れないくらい連れていってもらいました。一番印象に残っているのは、2019年のACL(AFCチャンピオンズリーグ)決勝ですね。これは友だちと行ったんですけど、一体感、スタジアムの熱が凄くて。レッズサポーターの熱さは十分知っていたつもりですが、改めて圧倒されました。
「(興梠)慎三さんには恐れ多くて、まだ自分から話しかけられていないんです。でもこの前、たまたまエレベーターで一緒になったら、慎三さんから話かけてくれました。『阿部(勇樹)コーチはどんな感じだったの?』って」
「学校の友だちにもよく言われます。サッカーをやっているときは別人だねって。実際、普段はマイペースでふわふわしてます(笑)。でも、ピッチに入ると自然と声が出て、ガツンと行けるようになる。スイッチが入るんだと思います」
「埼玉の街クラブから目ぼしい選手が集められて、セレクションを受けるんです。もともとレッズに入りたいという思いがすごく強かったので、燃えました。実は小6のとき、ジュニアユースのセレクションを受けるつもりだったんですけど、申し込みの期限が過ぎてしまって受けられなくて(苦笑)。そうしたこともあったので、なおさらユースに入りたかった」
「同じポジションで僕よりも点を取ってアピールしている選手がいたんです。だから、あまり自信はなかったですね」
「めちゃめちゃ嬉しかったです。ただ、そういう経緯だったので、自分が一番最後からのスタートだということも分かっていました」
「1年のときからチャンスをもらえたんですけど、良かったり、ダメだったり、プレーに波があって。ちょっとネガティブというか、攻撃面で自分が通用するのか不安がありました」
「陽太の強みは守備だから。今年はそっちのほうでも頼むぞ」
「自分では、仕掛けてゴールまで持っていく、チャンスを作るところが強みだと思っていたので、すごく意外でした。あ、そうなんだって。そこからですね、守備を意識するようになったのは。球際で強く行くようになり、DFの選手たちからアドバイスをもらいながらポジショニングも学んで。プレースタイルが変わっていきましたね」
「自分に自信を持つタイプではないんですけど、高2の夏休み前ぐらいには、チームの中心としてやれているな、って感じられるようになりました」
「高2の年末の試合で相手と接触したときにバランスを崩して、膝を重ねたまま膝から落ちて、後十字靭帯を損傷してしまって。3カ月くらい運動ができなくて、イチから体を作り直さないといけなくなったし、トップチームの沖縄キャンプにも参加できなくなってしまって……」
「ケガから復帰してからも、うまくいかない時期が続いたので、あまり自信はなかったですね」
「一番は、驚きました。正直、厳しいのかなと思っていたので。でも、もともとレッズのファンとしてずっと応援してきたので、嬉しさが込み上げてきましたね」
「試合に出られなかったときは、すごく悔しかったですね。ただ、いろいろなポジションでプレーすることによって、新たな発見もありました。サイドバックをやっているときに、ボランチがここにいてくれたら、って感じて。その感覚は自分がボランチをやるときに役立つと思います。酒井宏樹選手にも『そのポジションでしっかりやることが次に繋がるから』というアドバイスをもらったので、サイドバックだろうと、どこだろうと、全力でやっていこうと思っています」
「特に孝太くんとはユースで一緒にやっていたので、レベルの高さはよく知っています。その孝太くんでも試合に出られないなんて、プロの世界は厳しいな、と改めて感じました。でも、なんとしても今年1年でチャンスを掴みたいと思っています」
「レッズのボランチでは、守備面では柴戸さんと一番タイプが近くて。攻撃の組み立てでは岩尾さんのプレーをユース時代には参考にしていました。攻撃でも守備でも貢献できるボランチになりたいんです。キャンプを通して、ボール奪取はプロでも通用する手応えも感じました」
「埼スタのピッチに立って、あの声援を浴びながらプレーする。ずっと憧れてきたので、それがまず実現したい目標ですね」
(取材・文/飯尾篤史)