「鮮明な記憶として残っているのは、順大さんはスローインの技術が高かったことです。だから、ロングスローからカウンターを繰り出し、一気にチャンスを作っていたイメージがあります。試合を見に行ったこともあって、さらに憧れになりました」
「まだ僕が浦和レッズのジュニアに入る前のことです。近くで見た順大さんは、ゴールを守っているときの姿勢がよくて、たたずまいがとにかく格好よかった。立っているだけなのに存在感があって、今もその立ち姿が思い浮かびます」
「子どものときには、その写真を飾っていましたね。そのときのことを考えると、今、自分が浦和レッズでプレーしているのは、改めてすごいことだと思います」
「練習を見たときのイメージが頭から消えないうちにと思って、友だちにボールを蹴ってもらって、キャッチングやセービングの練習をしていました。懐かしいですね」
「ジュニアユースになってからは、特に周作さんを見るようになりました。ジュニアのときは、大原サッカー場で練習していましたが、ジュニアユースになってからは練習場所も変わったので、接点を持つことはできなかったですけど、トップチームで試合に出続けている選手だったので、自然と憧れる存在になりました」
「周作さんはキックでチームのチャンスを作り出していました。それもあって、自分もキックの精度は磨かなければと思いましたし、他にもシュートセーブ、1対1の対応も驚かされました。(相手に)シュートを打たれたときも、しっかり止まって、反応したあとも、足を残していたりして……すごいなって」
「最初は憧れでしかなかったですけど、高校生になり、同じピッチに立って練習するようになってからは、この人を越えなければいけないというメンタルに変わっていきました」
「1試合のなかで絶対に3本はピンチがあると思う。でも、その3本を止めることができたら、試合に負けることはない。チームを勝たせることができる」
「年齢を重ね、経験を積んでいても、さらに向上しようとする姿を尊敬しています。自分も日々向上しようと取り組んでいますけど、それと同時に周作さんも向上している。だから、自分が上回るためには、僕は数倍の努力が必要になると思っています」
「簡単には越えさせてもらえない存在ですよね。でも、自分の将来を考えたとき、その存在と競い合って、越えることができたほうが、きっと自分にとって得られるものは大きいと思っています。そんな環境にいられる自分は幸せだなと」
「次は自分が誰かのそうした存在になれたらいいなって」
(取材・文/原田大輔)