城福浩監督の叫びが響いた。
「FWが走らないと、機能しないからな!」
G大阪戦前日、26日の紅白戦。名指しこそしなかったが、言葉の矛先は明らかにチーム得点王=レアンドロ・ペレイラだ。
この時のレアンドロ・ペレイラは負傷明け。万全ではなかったが、それでも走る意欲を見せた
「レアンドロ・ペレイラはストライカーとして全ての能力をもっている」
指揮官の評価は高い。左右両足から放たれるキャノンシュート。高さ・強さを備えたヘディング。16試合8得点という数字が物足りないと感じるほどの破壊力。
しかし、広島が目指すのは相手陣内で押し込むサッカー。それには前線からの守備が必要で、彼はその習慣に乏しい。
このテーマについて、指揮官とストライカーはずっと会話を続けている。
「求めるプレーをやってくれれば、君自身の得点が増えるんだ」
指揮官は言う。
「チームの規律を守って戦いたい」
レアンドロ・ペレイラもコンセプトは理解している。
一方で、FWにとって守備は負担になる。前からの守備でゴールが生まれたこともあるし、必要性はわかる。だが「試合では思い描いたようにできないこともある」とも思う。
だからこそ、「彼と僕との勝負」と城福監督が語るほどの議論は今も続く。
運動量が落ちてしまう場面を、城福監督は見逃さない
「立っているだけではダメだ!」
指揮官の叫びに呼応し、レアンドロ・ペレイラは走った。
「レアンドロ、そういうことだ!!」
G大阪戦では出場30分でスプリントは10回。8月15日対浦和戦では74分で5回。
大きな成長である。
レアンドロ・マルコス・ペルチェナ・ペレイラ
1991年7月13日生まれ。ブラジル出身。2014年には名門パルメイラスと契約。2015年にはベルギーのクラブ・ブルッヘに移籍。2019年1月、松本山雅に移籍。同年8月、広島に期限付き移籍。得点王を獲得したら代理人が車をプレゼントすると約束している。
【中野和也の「熱闘サンフレッチェ日誌」】