17日に行われた柏戦に向けての紅白戦。豪雨が身体を叩きつける中、柏好文の「行こうっ」という声が響いた。
「そう。柏選手の声はいつも、感動的なんだよ」
カメラマンが興奮気味に語る。
「どんな時でもみんなを励ます声を出して、盛り上げてくれているんだ」
確かに今季はサポーターの声援が制限されていることもあり、少し甲高い柏の声はスタンドに響く。勝利した清水戦も大敗した川崎F戦でも彼は常に声でチームを鼓舞。しかもその言葉は常に前向きだ。
21日のトレーニング風景。柏好文はどんな時も明るく全力で取り組み、周りを盛り上げる
「声は誰でも出せる。でも大切なのは、苦しい時にどういう声が出せるかということ。そのためには自分がチームを動かすという意識が重要で、若い選手にも自分自身にもそう言っています」
柏のポジティブさは、試合後のコメントにも現れる。例えば2017年第30節、川崎Fに0-3で完敗し降格圏に沈んだ試合後も「自信を持ってピッチに立てばいい。このチームはやれている」と語り、サポーターを励ました。プロの選手の役割が「サポーターに希望を与える」ことだと、強く認識している。
「いい声は、見ている人に選手の躍動感や存在感を伝えてくれる。(荒木)ハヤトや(川辺)ハヤオら、若い選手が声を率先して出していけば、(このチームも選手個々も)違ってくると思う」
柏戦で彼はドウグラス・ヴィエイラに「どんなボールが欲しい」と尋ね、求める質のクロスで先制点をアシスト。時には勢いで、時には具体的に、柏好文は声でも勝利に貢献する。
柏好文(かしわ・よしふみ)
1987年7月28日生まれ。山梨県出身。2010年、国士舘大から甲府に加入し、2014年には広島に移籍、2015年のチャンピオンシップでは2戦で1得点2アシストを記録し、優勝に大きく貢献した。記者の服装や髪型にも突っ込みを入れ、常に笑いを提供してくれる。
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