個人競技のテニスにおいて、出会いは選手の命運を時に大きく左右する――。
兵庫県西宮市で練習する山中太陽のコートサイドには、常にオーストラリア人コーチの姿があった。
プロ1年目の日本人選手が、海外のコーチを付けることは稀。その謎を解く鍵は、片手バックハンドに象徴される雄大なプレースタイルとも不可分な、彼の足跡にあった。
好きなテニスアニメのキャラに憧れ、4歳の時からバックハンドは片手打ちの山中だが、小柄な子どもが片手でラケットを操るのは困難。両手打ちを勧められるのが大抵だ。
だが、7歳で出会ったコーチは違った。
「そんなに好きなら、太陽は片手でいっか!」
快活に笑った女性コーチは、やがてオーストラリアにテニス留学し、そこで出会った元テニスプレーヤーと結婚する。
その結婚相手こそが、現コーチのジェフ・シュナイダー氏。妻を介し山中を知ったジェフ氏は、そのポテンシャルに惹かれ指導を望んだ。
ジェフ氏の指導のもと、ネットプレーも強化している山中
山中の攻撃的スタイルを好むジェフコーチは、「太陽のサーブとボレーを強化している」という。
一方の山中は、「もっとネットに出ていけと言われる。精神面について助言されることも多い」と新鮮な刺激を受け、ジェフ氏に信頼を寄せている様子だ。
10年前の出会いに照らされた運命的な道を、山中太陽は迷いなく進んでいく。
山中太陽(やまなか・たいよう)
兵庫県出身18歳。幼少期は地元でもさほど目立たぬ存在ながら、14歳の頃から頭角を現し、15歳で全日本ジュニア16歳以下を制する。今年3月にプロ転向。JTAランキング116位。
関連記事
・山中が操る雄大なフォーム
【内田暁「それぞれのセンターコート」】