昨年の春、ダブルス世界ランキング200位台だった柴原瑛菜は、その1年半後に24位として、再びヨーロッパに戻ってきた。
彼女が日本女子ダブルス第一人者の青山修子に「組んでください!」と猛アピールし、コンビが実現したのが昨年7月末。
そこから二人で16大会戦い、手にしたタイトルは3つ。今や、柴原は青山に次ぐ日本の2番手にまで急成長した。
米国カリフォルニア州で生まれ育った柴原は、日米双方のエッセンスを、170cmの長躯に内包する22歳だ。
仲間の日本人選手たちが「ハッピーガール」と称するほどに明るくポジティブ。同時に青山曰く、「日本人らしい面も多いし、敬語もしっかりしている」。
10歳年長の青山に敬意を表しつつも、物怖じせず意見も言う柴原の積極性が適度なバランスを生み、このペアの強みになっているようだ。
その事実を象徴するのが、先の全米OPで敗れた相手にリベンジした、全仏OP3回戦でのこの場面。
向かって左が柴原、右が青山。撮影:内田暁
チェンジオーバー中に身振り手振りも加えながら、水を飲む間も惜しむように二人は激しく言葉を交わす。
その結果掴んだ勝利に、「ポイントを取るイメージを持って試合に入ったので、それができてとても嬉しいです」と柴原は声を弾ませた。
グランドスラムのベスト8は、同ペアとして最高成績。それでも二人に、まだまだ満足している気配はない。
「グランドスラムで優勝したい」と明言する青山の想いに、柴原も自分の夢を重ねて走る。
柴原瑛菜(しばはら・えな)
1998年2月12日、米国生まれ。全米OPジュニア部門ダブルス優勝の実績を引っさげ、名門カルフォルニア大学LA校に進学するが、2年生を終えた時点で休学しプロ転向。
青山修子(あおやま・しゅうこ)
1987年12月19日、東京都町田市生まれ。早稲田大学卒業後にプロ転向。主にダブルスで活躍し、2013年ウインブルドンベスト4、ツアー優勝は9回を誇る。
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