7月1日に開幕する、クラウドファンディングによる男女賞金大会『BEAT COVID-19 OPEN』。
その大会会場を拠点に日頃練習する清水悠太(JTAランク10位)や日比野菜緒(JTAランク1位)らが、ツアー中断中に磨きを掛けてきた武器……それが、スピン量を増したフォアハンド・ストロークだという。
その研鑽のプロセスは、サービスラインのやや後方に置いたターゲットを狙う練習だ。
標的を意識したラリー練習。ネットを超えてこの位置のターゲットに当てるには、ボールに縦回転を掛ける必要がある
ネットに比較的近いサイドライン沿いに置かれた標的を狙うのは難易度が高く、スピン量と球速の双方が必須。幾度も標的めがけ試行錯誤しながらボールを打ち込むうちに、自然と回転量の増した高質なショットを体得できる寸法だ。
かくして得た武器の切れ味を、選手の実感以上に端的に示す証拠がある。
それが、コート上に積もった黄色い物体。
その正体は、テニスボールから飛び散ったフェルトである。
ボールにストリングを食い込ませ鋭いスイングで回転を掛ければ、摩耗が早くなるのは必然。
コーチ陣も、「通常の倍ほどの早さでボールがダメになる。経済的ダメージ大です」と苦笑いをこぼすほどだ。
その甲斐あり「ショットの質が上がり、特に悠太はクロスからストレートへの切り返しが上達した」とコーチたちも太鼓判を押す。
約4ヶ月ぶりの実戦で、切れ味増した武器が猛威を振るうか?要注目だ。
清水悠太(しみず・ゆうた)
滋賀県出身、21歳。身長163cmと小柄ながら俊敏性と高度なテクでジュニア時代から活躍し、世界ランキングも自己最高位を更新中の成長株。
日比野菜緒(ひびの・なお)
愛知県出身、25歳。最高世界ランキング単56位、複43位。単複それぞれでツアー2勝を誇る。
【内田暁「それぞれのセンターコート」】