先の全豪オープンで、大坂なおみが会見時に頻繁に口にした言葉があった。
それは「サーブのスタッツは良いと感じていた」「スタッツを見たら、思ったよりアンフォーストエラーが少なかった」など。
大坂の言う「スタッツ」とは、「statistics=統計データ」の略。
テニスでは、ファーストサーブの確率やウイナー数など、試合内容を現す数値を指す。
これらのデータを作成するのは、コートサイドに陣取る大会公式の“スタッツチーム”だ。彼らがつけた数値は公式データとなり、選手やコーチたちの作戦立案等に用いられる。
チームは通常二人一組で、一人が「エース」や「ウイナー」と判断し、一人がPCに入力する。
それらスタッフが付けるデータの中で、最も判断が困難なのが「アンフォーストエラー(自分が犯したエラー)」と「フォーストエラー(相手に強いられたエラー)」。
その境界線をどこに引くかは、スタッツチームに委ねられる。
もちろん、判断基準はある。
「走りながら打ったショットや、打つまでの時間が極端に短い場合は『フォースト』。足を止め、時間的余裕もある中で出たミスは『アンフォースト』となります」と、スタッツチーム。
ただ「判断が難しい局面も多々あります」というのが本音の模様。
ショットに込められた選手の意図や気迫などが、判断に影響を及ぼすこともあるだろう。
なお、大坂のコーチのウィム・フィセッテによると、最近の大坂が気にかけているスタッツこそが、このアンフォーストエラーとウイナーのバランスだという。
無機質に見える数字にこそ、テニスが持つ人間味が溢れている。
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