KO率9割。ジャパニーズタイソンの異名を持ち、注目される日本スーパーライト級ユース王者・佐々木尽(トップ写真左)。
彼の強さの秘密を探るのには、実際に受けてみるのが一番だ。ミットを持ち、対峙した。
動画30秒の左フックは佐々木の一番得意とするパンチだ
反動や踏み込みがない状態でもズシリとした重みが伝わる。ナックルが返り拳をしっかりと固めているのがとても良い。特に強かったのは必殺ブローの左フックで、持った腕が弾け飛ぶほどだ。
ほぼすべてのパンチで「パン」と爆発するような感覚が手に残ったのが印象的だ。聞けばデビュー戦での苦戦がKOパンチを生み出したという。
「初戦はなかなか倒せませんでした。今思えば力み過ぎていたのだと思います」
試合では「強いパンチ=KO」できるわけではない。パワーがあっても相手に悟られ防がれてしまう。佐々木は試合後に反省し、戦い方を変えた。
「2戦目で感覚を掴みました。力を抜いて、当たる瞬間だけインパクトを意識しました」
リラックスして、当たる瞬間に拳を固めて爆発的な威力を出すことで、最大限のパワーを相手のアゴなどの弱点へぶつける。コツをつかんだことでKOを量産してきたという。
「今後は質を高めて、ガードの上からでも倒せるパンチを磨いて行きます」
パンチの強さはすでに王者クラスとそん色ない。今後は徐々にレベルが上がっていく対戦相手の、高いディフェンス能力にどのように対処するかがカギとなるだろう。
次戦は5月23日に佐々木のひとつ下のライト級のユース王者で現在無敗の湯葉海樹と対戦する。相手は日本王座5階級制覇・忠志さんを父に持つサラブレッドだ。
アマチュア経験のない叩き上げの佐々木とは対極の選手との対戦になるが、「いいじゃん、やってやる。相手は強くてライバルだが勝ってすぐ上に進む」と強気なコメント。
無敗同士が対決するサバイバルマッチ。実力者相手にどこまで戦えるか見ものだ。
佐々木尽(ささき・じん)
東京都八王子市出身、19歳、八王子中屋ボクシングジム所属、第2代日本スーパーライト級ユース王者。戦績は10戦10勝(9KO)。一撃で試合を決めるスタイルからジャパニーズタイソンの異名を持つ。
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