WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗が、同級1位矢吹正道との防衛戦を9月10日に控えている。
「調整期間が長く取れて、気持ちにも余裕が生まれました。仕上がりもいい感じです」
前回の久田哲也との防衛戦から4ヶ月空き、心身共に上向きなようだ。
自身9度目となる防衛戦に向けて、練習から細心の注意を払っているのが「距離感」だ。
これまでの試合も拳四朗は距離感を自在に操るフットワークで勝ち続けてきた。その源泉は小刻みなステップにある。
ボクシングの基本となるシャドーボクシングでもそのステップは活かされている。
プロボクサーは12Rと長いラウンドを戦い抜くため、細かいステップよりも体力の消耗の少ない歩くようなフットワークを使うことが多い。
しかし、拳四朗は前後左右に、跳ねながらステップを踏み続けている。
「シャドーではステップを意識しています。自分のステップは普通のボクサーではできない」
3Rのアマチュアボクサーのようなハイテンポな動きで、12R動き続けられるのは拳四朗の強みだろう。
長丁場のプロの世界で拳四朗のようなステップを踏む選手は見たことがない。
「初めはしんどかったし、スタミナが持ちませんでした。慣れもありますが、毎日続けていたらこれが普通になりましたね。ほとんどの相手は自分について来れないでしょう」
対戦相手も拳四朗と同じペースで戦っていたらスタミナがもたないだろう。
今回の世界戦は地元・京都での開催とあってモチベーションも高い。
「地元の人が来てくれるので力になる。みんなに喜んでもらえるようにしっかり仕上げたい。関西の方は強さを見てもらいたい」
王者の貫禄を見せられるかに注目だ。
寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)
京都府城陽市出身、29歳、B.M.Bボクシングジム所属、現WBC世界ライトフライ級王者。戦績は18戦18勝(10KO)0敗。現役日本人世界王者で最多記録である8回の防衛に成功している。
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