注目の若手ファイターが、注目の一戦を迎えようとしている。
奈良井翼。戦績は7戦全勝6KOを誇り、昨年度の新人王戦では、スーパーフェザー級を制してMVPまで手にした。
波に乗っている彼のもとに今年、思いもよらない試合のオファーが舞いこんだ。
「亀田三兄弟」の従兄弟である、亀田京之介との対戦だ。
緩急をつけながらミットを打つ奈良井
奈良井にとって、初めてと言えるビッグネームとの一戦。
SNSで派手な言動が多い京之介は、自身のYouTubeチャンネルで奈良井をこうこき下ろした。
「スタミナもパワーもない。気を付けないといけないパンチがあるくらい。(これまで奈良井は全勝だが)相手はかませ犬ばかりでしょ」
謙虚な奈良井も、これには黙っていられなかった。Twitterでこう反論した。
「かませ犬としかやっていないとかほざいていたけど、相手選んで試合してないから。戦ってくれた人にも失礼やし。気が悪くてしゃーない」
京之介とはアマチュア時代に対戦して判定勝ちしたほか、スパーリングも多くこなしたという。
だからこそだろう。静かに自信をのぞかせる。
「一般の方からしたらあっちの方が断然有名。知名度は負けているけど実力で力の差を見せつけたい」
ただ、意気込みが力みにつながらないよう、練習では強弱をつけながらミットにパンチを打ち込んでいた。KOパンチに必要なのは、単なる「強さ」だけではないと、もう知っている。
この試合に勝てば、奈良井の知名度も一気に上がるだろう。
「むこうは気合も入っているでしょうが必ず、KOで勝ちたい。かっこよく倒して『すごいなあいつ』と言われたいですね」
好戦的な「亀田家」の血を引く京之介を、KOでガツンと言わせたいのだという。
試合は6月5日。奈良井にとって運命の一戦となるだろう。
奈良井翼(ならい・つばさ)
大阪府大阪市出身、21歳、RK蒲田ボクシングファミリー所属、全日本スーパーフェザー級新人王MVP獲得。戦績は7戦7勝(6KO)。小学生からキックボクシングを始め、高校入学後にボクシングに転向した。
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